世界ランキング1位の国枝慎吾らを指導する車いすテニスの丸山弘道コーチが主催する、ジュニアの団体戦である「第1回ドリームカップ車いすテニス選抜ジュニアチーム戦」が、12・13日の2日間にわたって大阪の江坂テニスセンターで開催された。北海道から九州まで、小学3年から高校2年までの16人が参加した。
試合は、東日本と西日本チームに分かれてシングルスとダブルスで対戦。総得点で争い、196点対175点で西日本チームが勝利した。
各地域でジュニアの大会は開催されているが全国大会はなかったことから、今年3月に丸山コーチの発案で個人戦の「第1回車いすテニスジュニア選手権大会」を開催。そして、丸山コーチの「テニスを通して全国に友達を作り、広い視野と経験を身につけてもらいたい」という願いに複数のスポンサーが賛同し、念願のチーム戦開催に至った。
今大会は個人戦時には実施できなかった、車椅子の開発などを手掛けるオーエックスエンジニアリング社員によるセミナーや、ウェルカムパーティーも開催。また、スポンサーの社員らがボールボーイなどを引き受け、国枝もサプライズゲストとして登場し、特別レッスンの“先生”として大会を支えた。
チーム戦を初めて経験する参加者がほとんどで、初日は緊張した面持ちだった子どもたち。だが、少しずつ参加者同士で打ち解けていくと、チーム内での絆も強くなり、2日目のダブルスでは熱心に“チームメート”を応援する姿も見られた。丸山コーチらは指導の合間に、常に挨拶やマナーの大切さについても説いており、子どもたちにとっては成長するきっかけになったに違いない。
東京の小学5年の大内山匠君は、「個人戦と違って、チーム戦は仲間がいる安心感があった。とても楽しかったし、大阪まで来てよかった」と笑顔を見せた。テニスを始めて1年が経ったという兵庫の中学2年の高橋直之君は、国枝からトレーニング方法を聞いた際にプレーが雑にならないようにとアドバイスされたといい、「2日目は丁寧なテニスを心掛けた。東日本の友達もできて、初日は緊張で一勝しかできなかったけれど、今日は落ち着いてコートに入れて、サーブも良くなった」と手ごたえを感じていた。
大会後、国枝は「同じ年代の仲間ができると、いい意味で刺激し合う仲になる。僕がジュニア世代の頃はこういう大会がなかったから、競い合っている姿を見て羨ましかった。彼らのキラキラした目を見て、僕も元気をもらいました」と語る。
今大会の名称「ドリームカップ」は、丸山コーチが好きな『夢』からつけた。子どもたちへは「小さな夢から大きな夢まで、達成するために日々努力しています。みんなも夢や目標を持って、力強く、たくましくなってほしい」とエールを送った。
(取材・文・撮影/荒木美晴)