「第33回飯塚国際車いすテニス大会(ジャパンオープン)」は21日、男女シングルスの決勝が行われ、女子の上地結衣(エイベックス)がディード・デグルート(オランダ)を6-2、6-2で下し、大会5連覇を果たした。上地は前日のダブルスも制しており、単複2冠を達成した。
上地「今年は挑戦の年に」
世界3位につける20歳のデグルートは、伸び盛りの選手のひとり。持ち味の左右どちらにも打ち分けられるフォアの強打を警戒し、上地はコートの中央に高いスピンボールを集め、その動きを封じた。また、前日の準決勝で苦しんだサーブは、居残り練習で感覚を確かめた甲斐もあって中盤以降は安定感を増し、その分「後半は気持ちに余裕が生まれ、コートを広く使ってプレーできた」と振り返る。
グランドスラムに次ぐグレードのスーパーシリーズである今大会は、世界トップランカーが集まった。1月の全豪オープン以降、さらに強化を図ってきたバックハンドのトップスピンを試す絶好の機会になったが、納得はいっていない。「スライスショットの習得にかかった年月を考えれば、このショットに取り組んでまだ日が浅い。世界を相手に使って課題も見えてきたし、もっと打ち込んでいきたい」
「今年はチャレンジの年」と話す上地。サーブの改善やバックハンドトップスピンの強化に加え、テニス車を新しくする予定だという。高いショットへの対策として、「座面の高さを変え、タイヤのインチを大きくした」もので、自分のなかのベストの高さやポジションを探る考えだ。
このあと2週間の韓国遠征、そして全仏オープンに出場する予定で、「2020年東京パラリンピックは大きな目標としてあるけれど、今は目の前の大会をしっかり戦っていきたい」と話し、前を向いた。
■大混戦の男子はリオパラ王者のリードが制す
男子シングルス決勝は、準決勝で世界ランク1位のステファン・ウデ(フランス)を破ったニコラス・ペイファー(フランス)と、今年の全豪オープン覇者のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)を破ったリオパラリンピック金メダリストのゴードン・リード(イギリス)のカードとなった。
第1セットはペイファーが4-1と先行するが、そこからリードが巻き返し、タイブレークを制した。第2セットに入るとサービスのリターンも安定してきたリードに対し、チャンスボールをネットにかけるなど次第に精細を欠くペイファー。試合は、7-6、6-1でリードが勝利した。試合後、リードは「拮抗してから自分のテニスができた。ジャパンオープンの初タイトルが獲れてうれしい」と笑顔でコメントした。
(取材・文・撮影/荒木美晴)