「三井不動産 第21回車いすラグビー日本選手権大会」最終日。決勝と順位決定戦が行われた22日、初出場のTOKYO SUNSが2年連続で決勝に進出したFreedom(高知)を52-44で退け、全勝で初優勝を果たした。
日本代表のキャプテン・池透暢(3.0)率いるFreedomと、エース・池崎大輔(3.0)を中心に今年新たに発足したTOKYO SUNS。日本の車いすラグビー界を牽引する2人がヘッドコーチ兼選手として対決した決勝戦は、試合序盤からキーエリア内での激しい攻防、両チーム一歩も譲らぬ応酬が続き、目まぐるしい展開となった。第1ピリオド終盤からTOKYO SUNSがリードする形で前半は29-25。第3ピリオドにFreedomは3点差とするも、最後は8点にまで差を広げてTOKYO SUNSが勝ち切った。
気迫あるタックルで池を止めにかかる池崎、それを華麗なチェアワークでフェイクをかけて抜きさる池――。代表チームで互いを知り尽くした2人ならではの駆け引き、そしてTOKYO SUNSに加わったニュージーランド代表、ヘイデン・バートン(3.0)の迫力あるプレーなど、日本一の座をかけた両チームの戦いに、会場は沸いた。
「プロに近い意識を持ったクラブチームをつくりたい」との思いから、結成されたTOKYO SUNS。日本代表4人とニュージーランドからの助っ人を擁するプレッシャーからか、池崎とともにチームを立ち上げた今井友明(1.0)は、「勝ててホッとしたというのが正直な気持ち」と安堵の表情を浮かべていた。
その他の試合は、日本代表期待の若手として活躍する中町俊耶(2.0)、新星・橋本勝也(3.0)の所属するTOHOKU STORMERSがFukuoka DANDELIONを47-37で下し3位に。橋本は「この一年の集大成となる試合で勝てたことは素直にうれしい」と本大会を振り返った。
過去最多8回の優勝を誇るBLITZは、AXEを48-44で抑えて5位。4連覇のかかっていたOkinawa Hurricanesは、カナダ代表ザック・マデル(3.5)の負傷による戦線離脱が響き、北海道 T×T Big Dippers に46-43で敗れ、8位に終わった。
表彰式には、プレゼンターとして元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さんが登場。ラグビーワールドカップ日本大会、車いすラグビーワールドチャレンジ2019(WWRC)と、ラグビーイヤーに沸いた2019年を締めくくる形となった本大会を印象づけた。
たしかに2019年、日本はラグビーで大いに盛り上がった。しかし、車いすラグビー日本代表にとっては、昨年の世界選手権で優勝して世界一になったあと、WWRCでは3位に終わる悔しさを味わった年でもあった。「今年(経験した試練)は、来年大きな飛躍の年にするための1年だったのかな」。そう言って、池は会場を後にした。
<最終結果>
優勝 TOKYO SUNS
2位 Freedom
3位 TOHOKU STORMERS
4位 Fukuoka DANDELION
5位 BLITZ
6位 AXE
7位 北海道 T×T Big Dippers
8位 Okinawa Hurricanes
(取材・文/山本千尋、撮影/植原義晴)