ラグビーの“もうひとつのワールドカップ”「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が16日、東京体育館で開幕した。世界ランキングトップ10のうち、8カ国(オーストラリア、日本、アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ニュージーランド、ブラジル)が参加し、頂点を争う。
この日から2つのプールに分かれた予選リーグがスタート。開幕戦に登場した世界ランク2位の日本は、初対戦となる同10位のブラジルを61-42で下し、白星スタートを飾った。
昨年の世界選手権で優勝している日本代表は、コート上でプレーする4人のライン(ラインナップ=組み合わせ)のバリエーションが豊富であることが特徴のひとつ。ケビン・オアーHCが「この試合は若い選手のプレータイムを確保し、経験を積むことを優先した」と話したとおり、序盤から積極的に異なるラインを起用し、登録12人の選手全員がプレーした。
代表の“次世代エース”、高校2年の橋本勝也も第1ピリオドから出場。持ち味のスピードを活かした縦横無尽な動きでスペースに切り込み、チーム最多の18得点の活躍を見せた。時間を重ねるごとに相手のプレッシャーが厳しくなり、終盤はプレーに迷う場面も。「少し焦ってしまった。常に平常心を保ってプレーできるようにしたい」と課題の修正を誓っていた。
2018年のカナダカップで代表デビュー。同年の世界選手権には最年少の16歳で出場した。今年9月のアジアオセアニア選手権で橋本は、クラシフィケーション(持ち点審査)でクラス3.5から3.0に変更された。コート上の4人の持ち点が8点以内と定められている車いすラグビーでは、この0.5点の差がチームの大きなアドバンテージになる。チーム内に3.0のプレーヤーはエースの池崎大輔、キャプテンの池透暢、代表歴19年目のベテラン・島川慎一と名選手がそろう。橋本にとっては、今大会で実績を残し、メンバー定着のきっかけとしたいところだ。
「世界最強プレーヤー」と称されるオーストラリアのライリー・バット(3.5)が目標という17歳は、「ライリーと同じクラスではなくなってしまったけれど、自分が3.0になったからといってプレースタイルややることは変わらない。ライリーを超える”世界一”を目指す」と力強く語った。
<16日の試合結果>
■プールA
日本 61-42 ブラジル
イギリス 51-44 フランス
■プールB
オーストラリア 60-46 ニュージーランド
アメリカ 59-46 カナダ
(取材・文・撮影/荒木美晴)