来年1月に開催される車いすラグビー日本選手権大会の予選が始まった。27日、先陣を切って北海道で開幕。2日間にわたって、岩見沢市の北村トレーニングセンターで6試合が行われ、Freedom(高知)が全勝、RIZE CHIBA(千葉)が2勝で本大会の出場を決めた。SILVERBACKS(北海道)はプレーオフにまわる。
試合は3チームによる総当たりを2回実施。Freedomはエントリーが8人と、3チーム中最少人数。ミッドポインターが少ない布陣ながらも、池透暢(3.0)から昨季加入の白川楓也(3.0)へのロングパスなどでゴールを重ね、全勝とした。キャプテンの渡邊翔太(1.5)は日本選手権に向けて、「池、白川ラインの精度と質を上げていきつつ、他のラインでも相手と競ることができるところまで仕上げていきたい」と話した。
東京パラリンピックから1年が経った。日本車いすラグビー連盟によれば、東京パラ後に競技を始める選手が増えたといい、今大会もフレッシュな顔ぶれがそろった。
SILVERBACKSに新加入した松波正晃(3.5R)は、今年の3月に競技をスタート。末梢神経疾患のシャルコー・マリー・トゥース病で、趣味で車いすテニスをしていたが、症状が進行して手指を動かしづらくなり、車いすラグビーに取り組み始めた。初戦のFreedom戦では初トライを決め、「嬉しかった」と笑顔。初めて対峙した池のスピードに度肝を抜かれたが、「吸収したい」と前を向き、また「(東京パラ銅メダリストの)池崎(大輔)さんは同じ病気。すごく努力して今の池崎さんがあるんだと思う。同じ障害だからこそ、自分にもできると思って頑張りたい」と話した。
RIZE CHIBAは、15歳の大峯充生(2.5R)と25歳の鈴木康平(0.5R)が公式戦デビューを飾った。大峯は先天性の病気で、電動車いすサッカーの経験があり、1年前にチームに加入した。本格的な練習参加は半年前からとのことだが、この日はインバウンダーを任されるなど経験を積んだ。また、鈴木は2年前にサーフィン中の事故で頸椎を損傷。昨年の東京パラはテレビ観戦し、「感動した。やってみたい」と今年3月に車いすラグビーを始めた。
そんな2人にとって、4季ぶりにチームに戻った東京パラ日本代表の今井友明(1.0)は憧れであり、目標となる存在だ。同じローポインターの鈴木は、「今井選手のハイポインターにも負けないプレーがすごい。僕も敵を引きつけるなど役割をしっかり果たせるように、漕ぎだしの強化やスタミナをつけているところ」と話し、レベルアップを誓っていた。
今年度の予選大会は3カ所で実施予定で、9月3~4日に東京大会(会場:渋谷区スポーツセンター)、10月29~30日に福岡大会(会場:田川市総合体育館)が行われる。各予選の上位2チームが本選出場権を獲得し、残り1チームを12月のプレーオフで決める。
(取材・文・撮影/荒木美晴)