東京2020パラリンピック, 車いすラグビー — 2021/8/27 金曜日 at 0:15:51

【東京2020】攻守安定の日本、ダークホースのデンマークを破り2連勝!

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激しいタックルをかわし、ボールをキープする池崎大輔=国立代々木競技場(撮影/植原義晴)

〈東京パラリンピック〉車いすラグビー/混合予選グループA/日本60―51デンマーク(8月26日、代々木競技場)

予選プール2戦目、日本の対戦相手はデンマーク。世界ランク7位ながら、初戦ではパラリンピック3連覇を目指す“横綱”オーストラリアから金星を挙げている。日本は初日こそ緊張からミスがあったが、この日は序盤から堅い守りで相手のオフェンスを封じ、ターンオーバーから得点を重ねるなど主導権を握った。

第2ピリオドには同点に追いつかれる場面もあったが、落ち着いて1点を丁寧に返していく日本。攻守の連携をさらに高めて攻撃のギアをあげ、逆転は許さなかった。後半もキャプテンの池透暢(日興アセットマネジメント)が高さを活かして相手のパスをカットしてトライにつなげ、再び点差を広げていく。エースの池崎大輔(三菱商事)もチーム最多の24得点をマーク。19歳の橋本勝也(三春町役場)や中町俊耶(コロプラ)、小川仁士(バイエル薬品)らも初出場し、チームの勝利に貢献した。

パラリンピックは5大会目。これまでの悔しさを原動力に、島川はいまなお最前線で戦う

緊張感に包まれるパラリンピックという最高峰の舞台で、日本代表が最高の状態を迎えている。若手とベテランが融合するチームにおいて、戦術面でも精神面でもバランスが取れているのだと感じる。また、ベテラン=精神的支柱というだけではない。アテネ大会から5大会連続出場の46歳の島川慎一(バークレイズ証券)は、デンマーク戦では途中出場でプレータイム7分半ながら11得点と爆発力を見せ、最前線で仲間を引っ張る。

「ぜったいに、負けたくない」。クールな表情の下に燃え盛る情熱を持つ。コロナ禍で練習場所が失われても黙々とできることをやり続け、さらなる肉体強化も努力を厭わず、若手選手の言葉にも素直に耳を傾ける。2017年に就任したケビン・オアーHCも「いまなお進化している」と、島川を評する。

「競技は22年やっていて、代表は20年。とうとうチーム最年長になってしまったけれど、22年やっていてまだ学びがあるってすごいと思うし、まだまだこれからも進化します。パラリンピックは5大会目で、これまでに悔しい想いを何度も何度もしてきた。前回のリオも銅メダルで終わってしまったので。だから、今までのすべてをこの大会に、この5日間にぶつけようと思ってます」

目指すものはただひとつ、パラリンピックの金メダル。そこへ続く一本道に、最強の仲間たちとともに向かっていく。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)