車いすラグビー — 2023/7/3 月曜日 at 15:16:38

【AOC】日本優勝でパリ行き切符獲得! オアーJAPAN、有終の美

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選手を代表して花束を贈呈した池(左)。オアーHCの6年間の指導に、涙を浮かべながら感謝を伝えた=東京体育館(撮影/植原義晴)

「三井不動産 2023 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ(AOC)」の決勝が2日、東京体育館で行われ、日本代表がオーストラリア代表を55-44で下して優勝した。この結果、日本は来年のパリ2024パラリンピックの出場権を獲得。団体競技では、日本勢第1号となる。

AOCはアジア・オセアニア地区からパリ2024パラリンピックの出場権「1枠」を決定する重要な大会で、世界ランキング3位の日本、同2位で昨年の世界選手権王者のオーストラリア、同8位のニュージーランド、同15位の韓国(途中棄権)が参加。予選リーグは総当たり戦を2回行い、日本は6戦全勝で決勝に進んでいた。

オーストラリアの主軸のひとり、クリス・ボンド(右)のディフェンスをかわす池崎

オーストラリアとの予選の2試合はいずれもリードを許し、後半に逆転する展開だった。だが、決勝は序盤から高い集中力を維持して日本がゲームメーク。相手のインバウンドやパスをカットして4連続得点を決めるなどして、試合の主導権を握った。

オーストラリアは2人のハイポインターのラインが主軸なのに対して、日本は12人全員が出場。後半に入っても、次々に別のラインナップを投入し、疲れが見え始めた相手から何度もターンオーバーを奪った。最後まで自分たちのラグビーを貫いた日本は、11点差をつけて勝利。体力面の理由から、今大会をもって退任するケビン・オアーHCへ、最高のはなむけとなった。

名将・オアーHCが築いた日本のラグビー

アメリカ人のオアーHCは、アメリカ代表やカナダ代表で指揮官を務めたあと、2017年に日本代表HCに就任した。一人ひとりの個性を引き出し、ベテラン選手も経験が浅いローポインターやミドルポインターの選手も急成長。多彩なラインナップを実現し、これまでのハイポインターの個人スキルに頼りがちだった戦術に広がりを持たせ、世界と渡り合うチームへと成長させた。

タイムアウトで選手に指示を送るオアーHC

東京2020パラリンピックと昨年の世界選手権は、あと一歩のところで頂点には届かなかったが、今回の決勝ではまさにチーム一丸となって取り組んできた「全員プレー」を体現し、結果につなぐことができた。

得点源の一人として活躍した池崎大輔(3.0)は、「自分たちのラグビーに徹することができた」と胸を張り、キャプテンの池透暢(3.0)は「ケビンから受け継いだ日本のラグビーをさらに発展させて、パリでの金メダルを目指して進んでいく」と、涙を浮かべながら決意を述べた。

なお、後任にはロンドンとリオパラリンピックに出場し、昨年度末で日本代表強化指定選手を引退した岸光太郎氏が就任。「ケビンが築き上げた日本代表の戦略、熱い想いを継承し、その教えをベースに今まで以上に勝ちにこだわる強いチームへ革新していきたい」とコメントした。

※後日、関連コラムを掲載予定です!

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)