アイススレッジホッケー日本代表が、カナダ・カルガリーで開催されている国際大会「World Sledge Hockey Challenge」に参加している。出場国は地元カナダ、アメリカ、ノルウェー、そして日本の4カ国。現地時間27日から試合が始まり、日本は初戦でカナダと対戦。0-8で敗れた。日本代表に帯同している青木栄広アシスタントコーチからの報告をもとに、レポートをお届けする。
世界のトップ4が集結した今大会。来年の世界選手権に向けてチームの底上げに取り組む日本にとっては、新しい戦略を試す絶好の機会といえる。初戦のカナダ戦では、ベテランの上原大祐、高橋和廣とともに、バンクーバーパラリンピック後にスレッジホッケーをはじめ、着々と力をつけてきている熊谷昌治を第1セットに起用した。
対するカナダも、世界最強のスペシャルセットとの呼び声高い、グレッグ・ウエストレーク、ビリー・ブリッジス、ブラッド・ボーデンを別々のラインで起用し、若手選手にもチャンスを与えるような布陣を組んできた。そのためか、バンクーバーパラリンピックで見せたような強烈なフォアチェックは影を潜め、第1ピリオドは一進一退の展開が続いた。
しかし、日本はまだ十分に鍛錬のできていないショートハンド(キルプレー)で2点を失点。1点目はボーデンのアシストでウエストレークが、2点目はブリッジスが入れており、数的有利の状況での彼ら3人のスコアリング能力については高いものが見受けられる。
第2、3ピリオドは、試合が進むにつれ押されつつも互角に近い試合展開が続く。しかし、シュート数とゴール前のスコアリング能力の差でじわじわと点差が広がっていく。しかも、この大会はもともと「1ピリオド20分」というメンバー登録の多いチームに有利な大会であることに加え、第2ピリオドから急遽、現在のIIHF(国際アイスホッケー連盟)の、「アイシングでは交代ができない」というルールが適応されるという多少の混乱もあり、最終的には0-8というスコアに。日本チームにとっては、厳しい初戦となった。
試合後、日本代表の中北浩仁監督は、「今シーズンの初戦であったが、現在日本チームが抱える色々な悪い面が明確になった試合であった。カナダにはバンクーバーパラリンピックで戦った時ほどの強烈なフォアチェックは感じられなかった。むしろ、チェッキングラインである2セット目がきっちりと機能すれば、今のカナダであれば互角以上の戦いができる事がわかった。後は、GKを含めた守りを立て直すことを課題に、残りの試合を戦っていきたい」とコメント。初戦の戦いを冷静に受け止め、次につながる課題を見出していた。
明日はアメリカ戦に臨む日本代表。青木コーチは「今日の第2試合のノルウェー対アメリカ戦を見た限りでは、今日以上の厳しい戦いが予想されるが、今の日本チームのできることをいかに試合で出せるかに注力して戦っていきたい」と話している。
●27日の結果●
<第1試合>
日本 0-0-0=0
カナダ 2-2-4=8
<第2試合>
ノルウェー 0-1-0=1
アメリカ 2-1-2=5
※この記事は、青木栄広日本代表アシスタントコーチのレポートを元に作成しています
(編集/荒木美晴)