カナダ・カルガリーで開催されているアイススレッジホッケーの国際大会「World Sledge Hockey Challenge」に参戦している日本代表は現地時間の28日、アメリカと対戦し、2-6で敗れた。これで開幕から2連敗となった日本だが、アメリカのゴールキーパーでバンクーバー・パラリンピックの5試合を無失点に抑えたスティーブ・キャッシュから2得点を挙げるなど収穫もあった。日本代表に帯同している青木栄広アシスタントコーチからの報告をもとに、レポートをお届けする。
元アメリカ代表監督のレイ・マルタ氏が日本チームアドバイザーに
予選第2戦目は、バンクーバー・パラリンピック金メダルのアメリカとのゲーム。実は、この大会から日本代表チームには、2014年ソチ・パラリンピックでの金メダル獲得に向けた強化策の一環として、バンクーバーのアメリカ代表を率いたレイ・マルタ元監督が日本代表チームアドバイザーとして帯同している。
日本代表は、彼から練習メニューから試合に関する戦略に至るまで、世界一のチームで培ったアドバイスを受けながら、この大会を戦っているのだ。
昨晩は、バンクーバーのゴールド・シルバーメダルの両監督のもと、みっちりとミーティングを行った。ポイントは、ずばり「各人がゲームメイクすること」。
試合に負けはしたものの、成果があらわれた試合
第1ピリオドは、レイ・マルタ氏のアドバイスを忠実に実行し、キルプレーと不用意な失点を除いて、立ち上がりからほぼ互角に渡り合うことができた。第2ピリオドに入ってもその流れは続き、5分41秒には執拗なフォアチェックを起点に生んだチャンスで、コーナーからのDF遠藤隆行のパスをFW吉川守がバックドアで合わせ、今大会初得点を挙げた。
その後、遠藤がミスコンダクトペナルティの反則をとられ、10分間の退場に。その間、FWの安中幹雄を下げてしのぐという苦しい時間帯に入るも、吉川に続けとばかりに、相手ゴール前のパスカットからFW上原大祐が相手GKのスティーブ・キャッシュの肩口に二点目を決めた。バンクーバーでは5試合無失点のキャッシュから、たて続けに2得点。これが、レイ・マルタ氏が加わったことによる、新しい変化の一端といえる。
その後、さらに失点を重ねて2-6で敗れはしたが、次の試合に期待を持たせる試合内容だった。
青木アシスタントコーチは、「貪欲にこの新しい変化を受け入れて、予選最終戦のノルウェー戦には成果を結果として残せるようにしたい」と話している。
中北浩仁日本代表監督コメント
「試合には負けたが昨晩、しっかりとミーティングをした成果が出せたと思う。『各人がゲームメイクすること』を少し理解し実践できたのではないか。世界ナンバー1のゴーリーから得点できたのは、その成果だ。この大会は、結果が求められること以上に、新しいことを”学ぶ”ことを重要視していきたい」
レイ・マルタ日本代表アドバイザーコメント
「アメリカとの試合において、確実に日本がゲームを支配している時間帯があった。昨日の試合と違い、皆が考えてプレーをするようになっていた。この調子であれば今後の試合についても期待が持てる」
●28日の結果●
<第1試合>
日本 0-2-0=2
アメリカ 3-1-2=6
<第2試合>
カナダ 4-0-1=5
ノルウェー 2-0-0=2
※この記事は、青木栄広日本代表アシスタントコーチのレポートを元に作成しています
(編集/荒木美晴)