現地時間の9日の第三試合は、日本対ドイツ戦が行われた。日本は序盤にリードするも、ドイツに追いつかれ、5分間の延長戦に突入。ドイツの体を入れた速いタイミングのディフェンスに苦しみながらも、残り時間1分半で須藤悟(DF)が値千金のシュートを決め、初戦を勝利に導いた。
日本の世界ランキングは4位、ドイツは5位と、実力が拮抗している両チーム。日本にとって、バンクーバー行きの切符を手にするには、絶対に倒しておかなければいけない相手だった。その気持ちが前面に出たような第1ピリオド。日本は試合開始から5分の間に、石田真彦(DF)と高橋和廣(FW)のシュートで2点を決めて、相手を翻弄。最高のスタートを切った。終盤にはドイツのパワープレーで1点を返されるが、12分34秒には、石田のアシストを受けた須藤悟(DF)が強烈なシュート。相手GKに当たったパックがするすると足の下に流れ、ラッキーな3点目を入れた。
ところが、第2ピリオドに入って、ドイツの猛烈な反撃にあう。開始早々に速攻から1点を返され、1ピリよりも当たりが強くなったディフェンスにつかまり、日本は攻撃の芽をことごとくつぶされた。さらに、7分30秒に追加点を献上し、まさかの同点に追いつかれた。両チームともペナルティが続出する我慢の時間帯が続き、第3ピリオドはともに無得点。試合は運命の延長戦へともつれ込んだ。
5分間の間に、得点したほうが勝者となる延長戦。日本は疲労からかパックが手につかない場面もあったが、最後まで声を出して、集中力を切らさなかった。そして、残り時間が1分半に迫ったとき、パックをキープした須藤が躊躇せずにシュート。それが相手ディフェンダーに当たり、パックがGKの下をすり抜け、決勝点に。長かった試合にようやくピリオドが打たれ、リンクの中央にできた歓喜の輪のなかで選手らは笑顔を見せた。
試合終了後、中北浩仁監督は、「世界選手権の初戦を取るということが何より大事な試合だった。苦しい試合だったけれど、勝ちは勝ち。選手は最後までよく集中して、絶対負けないという気持ちで、戦ってくれた」と、ホッとした表情を見せ、さらに「明日対戦するチェコは隙のないチームという印象だが、しっかりと勝利して、バンクーバー行きを確実にしたい」と話し、気持ちを引き締めていた。
日本 3-0-0-1=4(①石田A高橋、②高橋A吉川、③須藤A石田、④須藤A上原)
ドイツ 1-2-0-0=3
(原稿/荒木美晴 撮影/吉村もと)