ビッグハットで行われている「2010ジャパンパラリンピックアイススレッジホッケー競技大会」は24日、最終日を迎え、3位決定戦と決勝戦が行われた。3位決定戦では、ノルウェーとチェコが対戦。第1ピリオドに3点を取り、試合を優勢に進めたノルウェーが、最終ピリオドでも2点を追加し、5-3でチェコに勝利。銅メダルを獲得した。予選1位通過のチェコは健闘するも、無念の最下位に終わった。
ノルウェーはこの日、Rolf Einar Pedersen(DF)が体調不良で出場を取りやめた。エース不在で、チェコに先制点を許し、トータル3点を奪われた。しかし、抜群の安定感を見せるパスワークと個人のスキルの高さを活かした攻撃で、それを上回る5点を奪取。常に世界ランク2位以上をキープする、さすがの底力を見せつけた。
圧巻は、ノルウェーのゴールシーン。今大会、チェコ躍進の立役者でもあるGK・Vapenka Michalの動きを完全に読みきっていた。身長190センチを超えるVapenka Michalは足を前に投げ出す格好でスレッジに座り守る。圧倒的な存在感を見せているが、左右に振られると戻りが遅くなることが“穴”。ノルウェーはそこをついて、ゴール前で一人の選手がひきつけておいて、あいたスペースに確実にシュートを決めるという定石で、得点を重ねた。
一方のチェコも、ゴールの横パスからの得点など、高いオフェンス力をみせた。また、先制点を挙げる集中力やミスの少なさは、特筆すべき点といえるかもしれない。これにスピードが加われば、バンクーバーパラリンピックでも台風の目になる可能性は大いにある。本番まであと約1ヶ月半で、どこまで調整してくるか。その未知ののびしろに注目が集まる。
(取材・文/荒木美晴 撮影/吉村もと)