現地時間13日の午前10時、アイススレッジホッケーの予選リーグが始まった。注目の第一試合は、グループBのカナダ対イタリア。土曜日の午前中ということもあり、6800人収容できる会場のUBCサンダーバードアリーナは、地元カナダの応援団で満員に。大声援を味方につけたカナダは、終始、圧倒的にゲームを支配。4-0でイタリアを破り、勝利した。
第一試合 カナダ 4-0 イタリア(グループB)
今大会、優勝候補のカナダは、抜群のパックさばきとスピード、強力なボディチェック力を備える非常に攻撃力の高いチームだ。この試合も、その持ち味を十二分に発揮し、ペナルティによりひとり人数が少ないキルプレー中でも、攻撃エリアで攻め続けた。
第1ピリオド9分28秒には、Marc DORION(FW)のシュートがゴールキーパーにはじかれたものの、そのパックが味方ディフェンスに当たって得点に。対するイタリアは、第2ピリオドは、“カナダコール”に染まる会場の雰囲気に飲まれることなく落ち着いてプレーし、身を挺したディフェンスでゴールを死守した。
しかし、勢いはやはりカナダ。最終ピリオドは、シュートラッシュで観客を魅了。4分4秒には、23歳の若きエース・Greg WESTLAKE(FW)のシュートが、ゴール前の混戦からいったんはノーゴールと判定されたものの、協議の結果、ゴールと判定。さらに、8分48秒にはBrad BOWDEN(FW)からWESTLAKEへと短いパスをつなぐ鮮やかな攻撃で追加点を挙げ、9分18秒にはキャプテン・Jean LABONTE(DF)が空気を裂くような弾丸シュートでゴールネットを揺らし、イタリアを突き放した。
◆第一試合スコア
カナダ 1-0-3=4
イタリア 0-0-0=0
第二試合 ノルウェー 2-1 スウェーデン(グループB)
アイススレッジホッケー発祥の地とされる北欧のチーム同士のカードとなった第二試合。ノルウェーは長野大会優勝、ソルトレークシティ大会とトリノ大会で2位、現在の世界ランキングも2位の強豪国。対するスウェーデンも、リレハンメル大会で金メダル、長野大会では3位に入った実力チームで、その後2部リーグでプレーするなど低迷したが、バンクーバーパラリンピック出場権をかけた大会で優勝し、本大会に臨んでいる。
また、注目すべきは、攻守の要としてスウェーデン黄金時代を支えた名プレーヤー・Jan EDBOMが3年前から同国代表のヘッドコーチとして指揮をとっていることだ。往時の勢いを彷彿させる組織力でノルウェー陣地に攻め込み、第一ピリオドの残り44秒には、ゴール前で横パスを受けたベテラン・Marcus HOLM(FW)がゴールキーパーをかわして、ゴールとの狭い隙間を狙ってシュート。これが見事に決まり、先制点を奪取した。
第二ピリオドに入ると、ノルウェーはその類まれなる個人技の高さから“スーパーエース”の呼び声高いRolf Einar PEDERSEN(FW)を中心にゲームを組み立てるが、スウェーデンのディフェンスラインがゴール前を守り、ゴールキーパー・Ulf NILSSONがファインセーブを連発。チームの危機を何度も救った。
この堅い守りが攻撃の起点となり、流れは完全にスウェーデンに。世界2位のプライドにかけて何としても得点を入れたいノルウェーは、集中力を高めて最終ピリオドに臨むが、効果的なボディチェックを食らい、なかなか攻撃に転じることができなかった。しかし、チャンスは試合終了まで後2分となったところで到来した。
スウェーデンのペナルティで、ノルウェーはひとり多いパワープレーの場面。残り2分を切ったところで、相手ゴール前でPEDERSEN、Stig Tore SVEE(FW)がパスをつなぎ、キャプテン・Tommy ROVELSTAD(DF)がゴール左上に突き刺さる強烈な同点弾を叩き込んだ。
試合は、5分間のサドンデス方式の延長戦へ(プレーヤーは4名ずつ)。両チームともカウンター攻撃でゴールを狙うが、やはりゴールキーパーがナイスセーブ。ともに無得点に終わり、決着はゲームウイニングショット対決へ。先攻スウェーデンの3人目がゴールポストに当ててはずしたのに対し、ノルウェー3人目のROVELSTADが落ち着いてシュートを決め、ノルウェーの勝利が決まった。
◆第二試合スコア
ノルウェー 0-0-1-0-1=2
スウェーデン 1-0-0-0-0=1
第三試合 アメリカ 5―0 韓国(グループA)
日本と同じAグループのアメリカと韓国の試合は、5―0でアメリカが完封勝利した。先制点はアメリカ。序盤こそ韓国のスローペースにはまり、パスのクリアミスなどいつものキレがない攻撃が続いた。しかし、第2ピリオド4分45秒にパワープレーのチャンスで、エースのAlexi SALAMONE(FW)がしっかりと追加点を挙げてからはアメリカペースに。
3点目も数的有利なパワープレーの時間帯に入れ、展開を優勢に進めた。試合は、最終ピリオドにさらに得点を重ねたアメリカが5-0で勝利した。韓国は、アメリカと同じくらいの観客席からの大声援に背中を押されて踏ん張りを見せたが、ペナルティを重ね、最後までペースを取り戻すことがなかった。
◆第三試合スコア
アメリカ 1-2-2=5
韓 国 0-0-0=0
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)