【バンクーバーパラリンピック】 <予選リーグ>ノルウェーがイタリアに辛勝 ほか

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ノルウェーのエース・Pedersen(写真中央)は徹底マークを受け、チャンスを作れず/撮影:吉村もと

現地時間の14日、アイススレッジホッケーは予選2日目を迎えた。第一試合のノルウェー対イタリアは、最終ピリオドに得点を重ねたノルウェーが2-1で逆転勝ちした。先制点を挙げ、終始ゲームコントロールしていたイタリアは、悔しい敗戦に肩を落とした。

第一試合 ノルウェー 2-1 イタリア(グループB)

優勝候補のひとつである世界ランキング2位のノルウェーが、予選で苦労している。初日のスウェーデン戦はGWSにもつれ込み、今日は格下のイタリアに翻弄された。イタリア戦では、序盤からパックを支配され、防戦メインの展開に。第1ピリオド8分34秒には、ゴール前でディフェンスのマークがはずれた一瞬のスキをつかれ、Werner WINKLER(FW)にシュートを決められた。

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世界ランク2位のノルウェーから先制点を取り、喜ぶイタリアチーム

ノルウェーは体格を活かした強烈なシュートを放つも、イタリアのゴールキーパーがファインセーブを連発。決め手を欠いたまま、最終ピリオドに突入した。

だが、ノルウェーの一瞬のゴールチャンスをものにする、ここ一番の集中力はさすが。7分59秒には、抜群のパックコントロールを活かしてHelge BJORNSTAD(FW)がシュートを放ち、そのこぼれだまに、Kjell Vidar ROYNE(FW)が反応してゴールを決めた。残り時間1分には、ゴール裏からパックをまわし、1点目と同じコンビがパスをつないで逆転に成功。これが決勝点となり、ノルウェーが勝利した。

ノルウェーのMorten HAGLUND監督は、報道陣に対して「今日のゴールはたまたま。シュートには問題がある」と話した。また、2得点のROYNEは「今回は運がよかった。もっとパックに触れてシュートを打たなければいけない。でも、僕らはスロースターターだから、だんだん良くなっていくよ」と、焦りはない。次戦以降の戦い方に注目したい。

◆第一試合スコア
ノルウェー 0-0-2=2

イタリア  1-0-0=1

第二試合 カナダ 10 - 1 スウェーデン(グループB)

カナダチームがリンクに登場すると、赤いユニフォームで埋まった会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれた。大応援団を味方につけたカナダは、第1ピリオドから怒涛の攻撃でスウェーデンを圧倒。中から外から、実にトータル32本のシュートを相手ゴールに浴びせかけ、10得点。大差をつけて勝利した。

現チームのカナダの主軸となるメンバーは20台前半と若いが、ホッケーのセンスは抜群。ハンドリングなど高い個人技とスピード、少々のボディチェックではびくともしないフィジカルの強さが光っている。加えて、52歳ながらフォワードとして第一線で活躍を続けるHerve LORDや、国民的ヒーローの守護神・Paul ROZENらベテラン勢も健在で、層の厚いチーム構成は、さすがアイスホッケーの国といったところだ。

一方のスウェーデンは、今大会、早めにバンクーバー入りし、カナダとの練習試合をこなすなど、調整をはかってきた。第1ピリオド、カナダに先制点を許した13秒後にシュートを決めるなど、出足はまずまずだった。だが、勢いが止まらない今日のカナダには歯が立たなかった。終始、守りにまわることしかできず、打ったシュートは3本のみ。大敗に精神的ダメージは大きいが、気持ちを切り替えて予選の最終戦に臨むしかない。

◆第二試合スコア
カナダ 4-4-2=10

スウェーデン 1-0-0=1

第三試合 アメリカ 3―0 チェコ(グループA)

日本と同じグループAのアメリカ対チェコの試合は、アメリカがピリオドごとに得点を重ね、3―0で勝利した。第1ピリオドの7分53秒、初戦でも2得点と活躍したTaylor LIPSETT(FW)がシュートを決めて先制。第2ピリオドには、エースのAlexi SALAMONE(FW)がスピードを活かした突破力をみせて、得点。最終ピリオドにも追加点を入れて、完封勝利を飾った。

対するチェコは、抜きん出たエースはいないものの、早いタイミングのボディチェックと堅実な守りが持ち味。攻撃には結びつかなかったが、この試合
もその片りんをみせ、パラリンピック初出場とは思えない攻守の安定感は印象に残る。

パラリンピックの出場権を獲得した昨年5月の世界選手権以降、近隣諸国との対戦や、上位国が集まるジャパンパラリンピックなど国際大会に出場して腕を磨き、いまその成果が少しずつ出ようとしている。この試合で予選2敗目となり、決勝リーグには進めなかったが、今後が楽しみなチームだ。

アメリカのRay MALUTAヘッドコーチは試合を振り返り、「今日は手堅いゲームだったね」とひとこと。またあさっての日本戦に対しては、「とてもスピードのあるチームだし、彼らに負けたこともある。力強いゲームをしたいと思う」と話した。

◆第三試合スコア
アメリカ  1-1-1=3

チェコ 0-0-0=0

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チェコの守護神Michal VAPENKA

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予選リーグ2連勝、好調のアメリカチーム

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)