【DAY1】女子45㎏級で世界新! 中国のグオが自らの記録を更新

by
昨年の世界選手権優勝のグオが、自ら持つ世界記録を見事更新!=北九州芸術劇場(撮影/荒木美晴)

競技初日の8日は、男子49㎏級と54㎏級、女子41㎏級と45㎏級が行われた。

男子49㎏級

男子で最も軽量のクラスで10選手が出場。リオパラリンピック銀メダルのクァラダ・オマール・マハデフ(ヨルダン)が175㎏を挙げて優勝した。リオと昨年の世界選手権覇者で世界記録保持者のル・バン・コン(ベトナム)は、事前練習で負傷したためキャンセルした。

12㎏も自己ベストを塗り替え、存在感を見せた加藤

日本からは3選手が出場。そのなかで最上位の6位につけたのは、加藤尊士(個人)。第1試技で113㎏を挙げて、いきなり自己ベストを大幅更新。第3試技では117㎏に成功した。加藤は元陸上の車いすスプリンター。パラパワーリフティングに転向して2年半、これからの成長曲線が楽しみだ。

日本記録保持者の三浦浩(東京ビッグサイト)は、116㎏で7位。135㎏の自己ベストを持つ三浦にとっては物足りない記録となったが、現在は10月のアジアパラ競技大会に照準を当てた別メニューを組んでおり、「ジャカルタで記録更新を狙う」と気持ちを切り替えていた。また、今季からシニアに活躍の場を移した奥山一輝(順天堂大)が、59㎏級から2階級落としてエントリー。第3試技でパラの標準記録を超える109㎏をマークし、ガッツポーズを作ってみせた。奥山は59㎏級で臨んだ5月のチャレンジカップ京都で95㎏をすべての試技で失敗するなど結果が残せず、心が折れかけた。だが、軽量級への変更を目指し、再び奮起。取り組んだ食事制限の成果が出始めると、充実した練習にもつながった。ひと山超えた次代のホープは、「ひとまず120㎏、今後は150㎏を目指す」と、力強く話す。

男子54㎏級

日本のエース西崎哲男(乃村工藝社)は、勤務先や家族らの大声援を受けてステージに登場。今大会の記録がパラランキングに反映されることから「重さにこだわって」試合に臨み、第2試技で132㎏をマーク。そこから一気に8㎏上げて140㎏に挑戦し、挙げ切ったかに見えたが惜しくも成功判定にならず。だが、ジャッジの内容を確認すると、自身が懸念していた「胸の上での止め」は認められていることがわかり、「次は挙げるだけ」と自信になった。修正を重ね、次戦のアジアパラに挑む。

ともに初の国際大会出場となった光瀬智洋(バーベル友の会)は109㎏、市川満典(パワーハウスつくば)は103㎏だった。優勝したのは、リオ銀メダルのワン・ジアンで173㎏をマーク。特別試技では、失敗したものの183.5㎏のアジア記録に挑戦し、会場を大いに盛り上げた。

女子41㎏級

試技の前に集中力を高める成毛

成毛美和(パワーハウスつくば)は48㎏に挑戦するも、成功ならず。記録を残せなかったが、「感覚は重くなかった」と前向きだ。今回が日本代表として初めての大会。自己ベストの50㎏の倍近い重さを挙げる世界トップクラスの選手を間近で見て刺激を受けた。10月のアジアパラ日本代表に選ばれており、「また違う雰囲気のなかでどれだけできるか。自己ベストを狙いたい」と話した。優勝は、昨年の世界チャンピオンのチュイ・ツェー(中国)に競り勝ったリ・ジンヤン(中国)。

女子45㎏級

この日、もっとも会場を沸かせたのが、110㎏の世界記録を持つ中国のグオ・リンリンだった。グオはただひとり、異次元の107㎏からスタートし、見事成功。その勢いのまま、第2試技で111㎏を挙げて世界新を更新すると、第3試技でも113㎏に成功してさらに記録を塗り替えた。特別試技でも114㎏をマークして歓声を浴びたグオは、金メダルを首にかけ、「嬉しい」と笑顔を見せた。

日本の小林浩美(個人)は、病気のため上肢にも障がいがある。今大会の結果は58㎏と自己ベストに届かなかったが、それを感じさせない力強い試技を見せた。

(取材・文・撮影/荒木美晴)