【DAY4】195㎏に成功「軽く感じた」男子88㎏級で大堂秀樹が銅メダル獲得!

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試技を成功させ、喜びを爆発させる大堂。「僕はもっともっと強くなる」とコメントした=北九州芸術劇場(撮影/植原義晴)

「北九州2018ワールドパラパワーリフティングアジア‐オセアニアオープン選手権大会」は11日、競技4日目を迎え、男子88㎏級と92㎏級、女子73㎏級と79㎏級が行われた。

男子88㎏級

安定感のある試技を3本そろえてなお「余力があった」と大堂

大堂秀樹(個人)が男子88㎏級で195㎏を成功させ、銅メダルを獲得。今大会、日本人で初めて表彰台に立った。第1試技の183㎏を余裕を持って挙げると、次の191㎏も白旗3本と完璧な試技。この第2試技が終わった段階で3位につけた大堂。第3試技の重量申告は、順位を争う他の選手とのかけひきが重要になるが、大堂はライバルの動きを冷静に読み切り、優位に立つと、195㎏も安定感抜群のフォームで挙げ切り、3位に入った。195㎏は自己ベストにあと1㎏と迫る好記録。「すごく軽く感じた。余力もあった」と充実した表情を見せた。

人知れず、プレッシャーも感じていた。地元開催ながら、ここまで日本人選手はまだメダルに届いていない。「第一人者と言われるなかで、人に責任を押し付けられない」と、奮起した。自己ベストの更新より順位にこだわり、会場で見守る仲間たちに勇気と結果を届けた。

「特別なメダル。今日は首にかけて寝ようかな」と笑う一方で、「2020年の東京に向けてはまだ中間点」と気を引き締める。北京からリオまでパラリンピック3大会連続で出場を果たしているベテランの、さらなる高みへの挑戦に期待したい。

優勝は昨年の世界選手権を制したイェ・ジヒョン(中国)。第3試技で232.5㎏を挙げてアジア新記録を樹立。さらに特別試技に挑戦し、世界新記録となる233.5㎏に成功した。

男子97㎏級

暫定順位が目まぐるしく入れ替わるトップ争いを制したのは、ソルヒポラバンジ・サエドハマド(イラン)。自己ベストを11㎏上回る231㎏を記録した。日本勢では、石原正治(オリンパステルモバイオマテリアル)が145㎏で14位、馬島誠(個人)が同記録で15位だった。

この経験を糧に、アジアパラでの挽回を誓う馬島

石橋は車いすバスケットボールから、馬島はパラアイスホッケーからの転向組。馬島はバンクバーパラリンピックで銀メダルを獲得したあと、日本代表を引退し、夏冬両方での表彰台を目指している。今季は好調で5月に155㎏を挙げ、日本記録を更新。今大会は160㎏に自信を見せていたが、届かなかった。「第2試技でバーを押し上げる際に軌道がずれ、第3試技でそのしくじりが影響した」と悔やんだが、その原因となった胸の止めは修正可能、と馬島。「このめちゃくちゃ悔しい気持ちを経験できたのはよかった。来月のアジアパラに向けて切り替えていく」と前を向いた。

女子73㎏級・79㎏級

自己ベストを2度更新し、ガッツポーズを作る坂元

73㎏級では坂元智香(大分銀行)が安定した試技を見せた。60㎏からスタートし、第2試技では65㎏を挙げて自己ベストを更新。第3試技では、その記録を塗り替える67㎏をマークした。いずれの試技も3枚すべて白旗判定のパーフェクトという会心の出来に、思わずガッツポーズが飛び出した。さらに3本すべて成功したのは、今大会出場した日本女子選手のなかで坂元だけ。メンタルが重要とされるこの競技において、「自信と過信の境目」をコントロールできたことが結果につながった、と振り返った。優勝は122㎏を成功させたハン・ミャオユ(中国)。

また、79㎏級はフー・リリー(中国)が139㎏の世界新記録を樹立して優勝した。この階級に日本人選手は出場していない。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)