パラバドミントン — 2019/8/23 金曜日 at 2:21:47

【Writer's eye】難敵下して全勝で決勝Tへ、“ムラカジ”ペアが躍進

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巧みなチェアワークと冷静なショット選択で予選1位通過を決めた村山(右)・梶原組=セント・ヤコブホール

パラバドミントン世界選手権は21日、予選リーグが行われ、車いすWH1-WH2男子ダブルスの村山浩(SMBCグリーンサービス)・梶原大暉(福岡市立福翔高)組がベトナムのペアをストレートで下して全勝とし、決勝トーナメントに弾みをつけた。

45歳の村山と17歳の梶原。親子ほどの年の差があるが、ふたりの相性は抜群だ。予選リーグ初戦ではグループ最大の難敵・ドイツのペアを攻略し、次戦以降に勢いをつけた。3月のトルコ国際からペアを組み始めた。文字通り「いちからのスタート」だったが、福岡に住む梶原が週末を利用して上京し、西葛西のパラバドミントン専用体育館などで一緒に練習を積み、自分たちのプレーを追求してきた。

村山は世界を主戦場に戦いながら、地元・千葉でバドミントンチーム「パシフィック」の代表を務め、競技の裾野を広げる活動も積極的に行っている。今回の世界選手権に出場している車いす女子WH1の里見紗李奈(NTT都市開発)の育成時代も見守ってきた。一方、高校3年の梶原は、14歳の時に交通事故で車いすに。受傷する前は野球をしていたといい、野球のフォームが活かせるパラバドミントンに取り組み始めた。日本障がい者バドミントン連盟の「次世代アスリート」から唯一、世界選手権の代表に選出され、「出られなかった人たちの分も、しっかりやりたい」と言葉に力を込める。

「大暉は一打ごとに成長していて、今日の試合も視界が開けていた。引っ張ってもらっている」と村山。梶原も村山に対して、「相手を困惑させるショットがあってさすがだなと思う。パートナーが村山さんだから頑張ろうって思える」と応える。

表彰台が目標だ。伸びしろ十分な「ムラカジ」ペアのさらなる飛躍に、引き続き注目したい。

(取材・文・撮影/荒木美晴)