来年3月まで続くパラリンピックレースのなかで、世界選手権は「最大の山場」といえる。獲得ポイントが2倍となり、ここでの成績が出場権争いに直結するからだ。そんななか、日本代表選手が続々と決勝トーナメント進出を決め、良いムードで大会後半を迎えようとしている。
選手の飛躍を支えるのが、コーチ・スタッフ陣だ。韓国出身の金正子ヘッドコーチを筆頭に、車いす・立位それぞれのカテゴリーに経験豊富なコーチ陣が付き、的確なアドバイスを送る。今大会はトレーナーのほか、心理や栄養の専門家らも帯同しており、会場内だけでなく宿泊先でも選手をフォローする。
たとえば、今年3月のトルコ国際からは、アテネ、北京両オリンピックに出場したバドミントン元日本代表選手で、現在は日本体育大学バドミントン部の監督を務める大束忠司氏、またS/Jリーグ(国内リーグ)1部に所属する七十七銀行バドミントン部監督の草井篤氏が新たに加わり、立位選手の指導に当たっている。
パラバドミントンは健常と比べて競技人口が少ないこともあり、国内の競争意識が働きにくい現状があるが、世界の厳しさを知る両コーチは「世界で勝つため」の意識改革にも取り組む。
「心強い存在」と選手は口をそろえる。両コーチの帯同は今回の世界選手権までとのことで、今後選手自身がこの経験をどう活かしていくかが、成長のカギとなる。
(取材・文・撮影/荒木美晴)