パラバドミントン — 2019/11/16 土曜日 at 1:28:14

【ジャパン国際】日本勢が決勝T進出! 若手選手も飛躍の大会に

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車いす男子WH2シングルスでベスト8に進出した高校3年の梶原大暉(14日撮影)=代々木競技場第一体育館(撮影/植原義晴)

熱戦が続く「ヒューリック・ダイハツJAPANパラバドミントン国際大会2019」。車いす男子WH1シングルスは、上位16人による決勝トーナメントに日本の7選手が駒を進めたが、いずれも1回戦で敗退。同WH2は高校3年の梶原大暉(福岡市立福翔高)が1回戦を突破し、準々決勝で世界選手権で銅メダルを獲得した渡辺敦也(アキレス)との日本人対決に挑む。

梶原を含め、育成世代も奮闘している今大会。車いす男子WH1-WH2ダブルスでは、日本のベテラン勢に加え、日本障がい者バドミントン連盟“次世代アスリート”の西村啓汰(パシフィック)・望月悠生(麗澤高)組が決勝トーナメントに進出した。1回戦で韓国の世界選手権銅メダルペアのチェ・キム組と当たり、12-21、9-21で敗れたが、強敵相手にラリーに必死に食らいついて連続で得点を重ねる見せ場も作った。

今後の成長が期待される西村啓汰(右)と望月悠生(14日撮影)

西村は28歳、望月は16歳。ともに千葉が拠点のクラブチーム「パシフィック」で練習する。ペアを組んで1年ほど。国際大会のエントリー自体、今回が2度目とキャリアは浅いが、厳しいパラリンピックレースで揉まれる猛者がひしめくなかで初めて予選を勝ち抜いたことは大きな自信になった。西村はシングルスでも決勝トーナメントに進出。世界のスピードや高さ、ショットの正確性、多彩な戦術を肌身で感じることができた。

この大会で得た貴重な経験を足がかりに、次のステージへとどうつなげていくか。西村の「国内でまずはちゃんと勝てるように頑張りたい」とのコメントに実感がこもる。望月もその言葉に同調しつつ、「そこから日本代表を目指したい。いつかパラリンピックに出場したい」とさらなるビジョンを描いていた。ふたりのこれからに注目していきたい。

女子車いすWH1‐WH2ダブルスは、福家育美(ダイハツ工業)・小倉理恵(ブリヂストン)組が、ベスト4をかけて中国ペアと対戦。第1ゲームを先取し、第2ゲームもマッチポイントを先に握って王手をかけるが、そこから逆転を許し、ファイナルゲームも取ることができなかった。「悔しい」と肩を落とす二人。次の大会でのリベンジに期待したい。

軽快なフットワークを武器に、単複で表彰台を狙う亀山楓(14日撮影)

立位女子SU5シングルスは予選リーグ最終戦が行われ、世界選手権銀メダルの鈴木亜弥子(七十七銀行)がインドネシアの選手に、また豊田まみ子(ヨネックス)がイタリアの選手にストレートで勝利した。亀山楓(高速)は第3シードのデンマークの選手に敗れたが、すでに2勝しており、3人とも決勝トーナメント進出を決めた。

亀山はSL3の山田麻美(LAVA International)とペアを組む女子ダブルスでも決勝トーナメント進出を果たしており、この日は準々決勝でフランスペアと対戦。序盤から息の合ったプレーでポイントを重ね、第2ゲーム後半はリードを許したものの互いに声を掛け合って集中力を高め、逆転に成功。21-12、21-19で勝利し、見事ベスト4入りを決めた。

「これまで自分たちのミスが続くと相手のペースに持っていかれることがパターン化していた。今日はそこから持ち直して勝利できたのでとても嬉しい」と山田は笑顔を見せる。亀山もまた「我慢して勝つことができた。よかった」と目を潤ませた。3位決定戦はないため、銅メダル以上が確定。準決勝では第2シードで優勝候補の一角である鈴木・伊藤則子(中日新聞社)組と対戦する。「強敵だけど、気持ちで負けないよう自分たちのプレーを出したい」と、ふたりは言葉に力を込めた。

立位女子SL4の藤野遼(福岡大)は、予選リーグを全勝でトップ通過。決勝トーナメント1回戦の準々決勝は不戦勝となり、藤野も表彰台を確定させた。16日は第1シードのヘッレ・ソフィエ・サグエイ(ノルウェー)とファイナル進出をかけて対戦する。立位男子SL3の藤原大輔(ダイハツ工業)は、ベスト8に進出。低身長クラス男子SH6の畠山洋平(Tポイント・ジャパン)は予選敗退に終わった。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)