パラバドミントン — 2020/12/22 火曜日 at 15:29:01

今季初の公式戦、6連覇の藤原は「感謝の気持ちでいっぱい」

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全試合ストレート勝ちで6度目Vを達成した男子SL3の藤原大輔=YMITアリーナ(撮影/植原義晴)

「第6回日本障がい者バドミントン選手権大会」が12月19日から2日間にわたり、滋賀県草津市のYMITアリーナで開催された。新型コロナウイルスの影響で国内外の大会が中止となった今季初の公式戦。感染拡大防止のため無観客で、各クラスともシングルスのみを実施した。

無観客でいつもと異なる雰囲気のなかで行われた今大会。定期的に座席消毒や換気の時間を取るなど、対策が講じられた。地元・滋賀を拠点に活動する女子車いすWH2の福家育美(ダイハツ工業)は、「無観客だけれど全国の仲間と会う貴重な機会をいただけて、バドミントンが楽しいと思えた大会だった。大変な状況のなかで開催されて有難く思う」とコメント。また、男子SL3で6連覇を達成した藤原大輔(同)も、「これから国際大会があるかわからないなかで、久しぶりに試合の空気を感じられた。東京パラリンピックに向けてひとつの確認ができた。大会を開いてくださったこと、活動を支えてくださった方々への感謝の気持ちでいっぱい」と話した。

昨年はケガで欠場した鈴木。2年ぶりの優勝を果たし、「これからも課題のフットワークに取り組んでいきたい」と話す

上肢障害SU5は、聴覚障害や内部障害の選手も加わり、「SU5+」として実施。男子は今井大湧(日体大)が4年連続5度目の優勝を果たした。女子は鈴木亜弥子(七十七銀行)が杉野明子(ヤフー)を破り、2年ぶりに頂点に立った。鈴木は昨年、左膝を傷め、日本選手権を欠場。今大会は約1年ぶりの大会出場となったが、強化してきたフットワークは健在で、1次リーグから決勝まで1ゲームも落とさずに戦い抜いた。

3位には亀山楓(高速)が入った。度重なるケガで3年ぶりに日本選手権に出場した豊田まみ子(ヨネックス)は4位だった。豊田は2月のブラジル国際の準決勝で左脚のアキレス腱を断裂するケガを負い、今大会が復帰戦に。表彰台は逃したが、「またコートに立てたことがうれしい」とコメント。この再スタートを機に、次のステップに向け歩みを進めていく。

知的障害ID7の男子は中野林太郎が5連覇を達成。決勝戦後、「同じところにシャトルを返して自分の首を絞めてしまった」と反省を口にしたように、田中和弥に主導権を握られる場面もあったが、次第に落ち着きを取り戻し、フルゲームの大接戦を制した。2人が出場した女子は花澤杏奈が制した。

男子車いすWH1は、村山浩(SMBCグリーンサービス)が決勝で第1シードの長島理(LIXIL)を下し、うれしい初優勝を飾った。女子車いすWH1の世界女王・里見紗理奈(NTT都市開発)、WH2の山崎悠麻(同)は、それぞれ総当たりで4選手と対戦していずれもストレート勝ちをおさめ、連覇を果たした。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)