東京2020パラリンピック, 車いすテニス — 2021/9/1 水曜日 at 16:28:01

【東京2020】国枝がライバル・ウデとの激闘制し、準決勝進出!

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男子シングルス準々決勝で長年のライバルであるステファン・ウデを破った国枝慎吾=有明テニスの森(撮影/植原義晴)

〈東京パラリンピック〉車いすテニス/男子シングルス準々決勝(9月1日、有明テニスの森)

過去に60回対戦しているレジェンド同士の一戦は、歴史に残る名勝負となった。男子シングルス準々決勝で第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)が第6シードのステファン・ウデ(フランス)を7-6(9-7)、6-3で破り、ベスト4に進出した。

第1セット、相手の強打やロブなど多彩なショットの前にリズムをつかめない国枝。ゲームカウント2-5と追い込まれる。「ウデはつなぎもうまい。自分からしかけないと一生ラリーが終わらない。やるべきことにフォーカスした」国枝は、ここから反撃に出る。第8ゲームをブレークすると、持ち味のチェアワークを活かして精度の高いショットを繰り出し、4連続でゲームをもぎとった。第12ゲームは一度はセットポイントを握りながら巻き返されて、試合はタイブレークに突入。一進一退の攻防が続いて7-7までもつれ込むが、最後は好調のサーブで相手のリターンミスを引き出し、勝ち切った。

第2セットは、第1ゲームでウデが3度のダブルフォルトを犯して国枝がいきなりブレーク。そこから波に乗り、要所で得意のバックハンドのダウンザラインを決めて3-0とリードする。ウデも2度のブレークを奪い、第9ゲームでは国枝の3本のマッチポイントをしのいだが、最後はダブルフォルトで試合を終えた。

激闘を終え、ネットを挟んでしっかりと握手と言葉をかわしたふたり。観客はいなかったが、会場の関係者らから大きな拍手が送られた。

力の入るラリーからポイントを奪い、ガッツポーズをつくる国枝

ふたりの61試合目は2-0のストレートで国枝が勝利。だが、互いのストロングポイントを凝縮したラリーが展開され、スコア以上に意味のある試合だと感じた。

国枝は、50歳にして世界をリードし続けるウデに対して、「本当に、彼以上のライバルはこの先もいない。毎ゲーム、どんな試合もタフだし、年齢のことを言うのは失礼かもしれないが、リスペクトしかない」と相手を称え、「こういったタフなゲームを勝ち切ることで次のゲームがより良くなってくるはず。準決勝の自分に期待が持てる試合だったと思う」と振り返った。

2日の準決勝の相手は、第4シードのグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)をフルセットの末に破ったリオ金のゴードン・リード(イギリス)に決まった。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)