車いすテニス — 2024/4/14 日曜日 at 23:17:13

【飯塚2024】上地&小田がライバル下し優勝!

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40周年の記念大会で上地(左)と小田が賜杯を手にした=いいづかスポーツ・リゾートテニスコート

「天皇杯・皇后杯 第40回飯塚国際車いすテニス大会」は14日に最終日を迎え、男女シングルスの決勝が行われた。女子は、上地結衣(三井住友銀行)が2-6、6-1、6-0でアニク・ファンクート(オランダ)に勝利し、6年ぶりの優勝を飾った。男子は、昨年の覇者で17歳の小田凱人(東海理化)が世界ランキング1位のアルフィー・ヒューエット(イギリス)を6-1、7-6で下した。

女子はファンクートがスタートからキレのある動きと安定したショットで上地を翻弄。上地は先にブレークを許し、追いかける展開から抜け出せずに第1セットを落としてしまう。しかし、第2セットは上地のコースを突いた配球でファンクートのアウトを誘い、先にブレークに成功。相手の重いサーブに対応するためリターンのポジションを下げるなど修正力も光り、一気に流れを引き寄せた。その勢いを維持し、第3セットはラブゲームで取り切った。

「日本のみなさんの前で勝つことは格別」と、皇后杯を手にして笑顔を見せた上地。パリに向けて「時間はあまりないけれど、しっかり準備をして結果を残したい。金メダルを獲得し、またこの場所に戻ってきたい」と語った。

男子の小田は第1セット、重く伸びのあるショットでヒューエットの体勢を崩し、序盤から「すべて自分の思い通り」の流れに持ち込んだ。前日の男子ダブルス決勝で左上腕を痛めたヒューエットのメディカルタイムアウトを挟み迎えた第2セットは、逆に小田のミスが続き、1-5と差をつけられてしまう。しかし、そこから小田が本領を発揮。第7ゲームをブレークすると、高い集中力で再びギアを上げてポイントを重ねていった。6-6で突入したタイブレークも1点を争う攻防が続くが、最後まで力強いショットを貫いた小田が熱戦を制した。

「第2セットの入りは課題。『もうヤバい』という、1-5からまくることができたのは良かった。それを落としていたら相当厳しい戦いになっていたと思う。そこは観客の人たちの応援に救われた。天皇杯・皇后杯を日本人が獲得できてうれしい」と振り返った。また、パリパラリンピックに向けても相当自信を深めた様子で、「今日の試合に勝って、パリも勝てると思った。もう大丈夫だなという感じ。本番まで、今のスタイルを磨いていきたい」と、言葉に力を込めた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)