車いすテニス — 2024/4/13 土曜日 at 23:25:15

【飯塚2024】男子の三木・小田組、女子の上地・モンジャネ組が優勝!クアード単はシュローダーが制す

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強敵を10ポイントマッチブレイクの末に下し、喜び合う三木・小田組=いいづかスポーツ・リゾートテニスコート

「天皇杯・皇后杯 第40回飯塚国際車いすテニス大会」は13日、男女ダブルスの決勝が行われ、男子は三木拓也(トヨタ自動車)/小田凱人(東海理化)組が6-4、2-6、10-6で第1シードのアルフィー・ヒューエット/ゴードン・リード(イギリス)組を破り、連覇を達成した。

昨年のジャパンオープンで初めてペアを組んで以降、この1年間はグランドスラムにも出場している三木・小田組。パラリンピックのリオ大会と東京大会で銀メダルを獲得している相手ペアには3連敗中だったが、初めて勝利することができた。第1セットは第3ゲームを先にブレークし、リードを守った日本ペア。第2セットは逆に2度のブレークを許して落とし、迎えた運命の10ポイントマッチタイブレークでは、1-1から小田のサービスエースを機にポイントを重ねてリードを広げると、最後まで攻撃的なダブルスで相手を追い込み、勝利を手繰り寄せた。ふたりは雄叫びを上げながら抱き合い優勝を喜ぶと、声援を送った観客に向けて、力強くガッツポーズを作って見せた。試合後、三木は「連敗中の一番強い相手に勝てて最高」と話し、小田も「初めてアルフィーたちに勝ったのがジャパンオープンとは完璧な形で終われた」と、それぞれ喜びを語った。

グランドスラムでもペアを組む上地(右)・モンジャネ組は準決勝からの3試合で落としたゲーム数はわずかに「3」と圧倒的な強さを見せた

女子ダブルスは、第1シードの上地結衣(三井住友銀行)/ホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)組が第2シードの高室冴綺(スタートライン)/アニク・ファンクート(オランダ)組を6-0、6-1で破り、優勝を果たした。

また、上地は女子シングルス準決勝でダブルスパートナーのモンジャネをストレートで下して決勝に進出。ファンクートは準決勝で大谷桃子(かんぽ生命)から第1セットを4-6で奪取。第2セットを1-3としたところで大谷の途中棄権により勝ち上がり、最終日の決勝で上地と激突する。

また、クアードはシングルス決勝が行われ、昨年準優勝のサム・シュローダー(オランダ)がガイ・サッソン(イスラエル)を6-1、6-2で下し、大会初優勝を飾った。シュローダーは今年1月の全豪オープンの決勝に続いてサッソンを撃破。チェアワークを活かした安定したストロークでスペースを作り、確実にポイントを重ねる展開で主導権を握り、「これまでで一番良い勝ち方ができた」と、手ごたえを口にする。相手のサッソンは2022年まで男子にエントリーしていたが、2023年からクアードでプレーする。準決勝では世界ランキング1位のニールス・フィンク(オランダ)を破るなど存在感を増しており、世界ランキングでも3位につける。彼らはクアードのなかでは比較的障害が軽く、切磋琢磨することでより一層、競技レベルを押し上げている。

世界のクアード界をけん引するひとり、シュローダー

そのなかで実力を維持していることについて、シュローダーは「技術はもちろんだけど、マインドコントロールが一番大事だと考えている。フィジカルに加えてメンタルトレーニングも取り入れ、以前よりミスをした時に自分を律することができるようになったのが大きいと思う」と話し、単複2冠を目指す今夏のパリパラリンピックに向けて「しっかり準備していきたい」と力強く語った。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)