車いすラグビー — 2019/10/19 土曜日 at 13:17:27

【WWRC2019】日本は欧州王者・イギリスを下し、予選リーグ1位で準決勝へ!

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キャプテンとして攻守でチームをひっぱる池。緊張感に包まれるなか、「自分をコントロールできた」と語る=東京体育館(撮影/植原義晴)

「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」予選最終日となる18日、日本はイギリスを57-51で破り、プールAのトップ通過を決めた。

8月のヨーロッパ選手権で3連覇、今年に入ってからオーストラリア(世界ランク1位)とアメリカ(同3位)にも勝っているイギリス(同4位)は、今もっとも勢いのあるチーム。日本(同2位)にとって予選最大の山場となる試合前夜、キャプテン・池透暢(3.0)は選手だけでミーティングを行ったといい、「もう一段ギアを上げて勝ちにいく」という思いを、チーム全員が共有して試合に臨んだ。

連日、会場に多くの観客が足を運び、両チームに大声援を送っている

金曜の夜、会社帰りの観客が数多くかけつけた会場は、パラリンピック本番さながらの大声援に包まれていた。ローポインターの今井友明(1.0)がトライを決めるなど攻守に活躍するが、ミスをしないイギリスを相手に、16-17とリードを許して第1ピリオドを終える。

「個人技より、いかにチームとして統率のとれたプレーをするか」を重視して、この日の布陣を組んだケビン・オアーHC。パス、スピード、インバウンドの安定性を図るため、チームの司令塔である池選手をいつもよりも長く起用した。「第1ピリオドが終わる前に、普段とは違う疲労を感じていた」という池は、第1ピリオドの終盤、一度ベンチに下がる。呼吸を見直し、自身をコントロールしてから、再びコートへ。気持ちをリセットした池は、第2ピリオド終了間際、2点ビハインドの状況から、自陣左サイドの密集からターンオーバーに成功する。

キャプテンの、このプレーで流れが変わった。その後、30-30の同点で前半を折り返してからは、得意のロングパスや自ら敵を引きつけてスペースを生み出すなどして得点を重ねていく。徐々に点差がひらき、後半は相手に一度もリードを許すことなく、最後は6点差でイギリスを引き離した。

この日、プールBでは、アメリカがオーストラリアに勝利(55-51)。19日の準決勝で、日本はプールBを2位通過となったオーストラリアと対戦する。

オーストラリアは、9月に行われた「2019 IWRF 車いすラグビー アジアオセアニア選手権大会」決勝で惜敗した因縁の相手。過去何度も対戦してきた強豪との勝負に、オアーHCは「ライリー・バット選手とクリス・ボンド選手がコートに入っているときは、より速いテンポでプレーを決めていく必要ある」と意気込みを語った。

再び、世界一へ。リベンジに向け、日本はチーム一丸となって挑む。

<18日の試合結果>

■プールA

ブラジル 38 -52 フランス

日本 57-51 イギリス

■プールB

ニュージーランド 41-58 カナダ

オーストラリア 51-55 アメリカ

(取材・文/山本千尋、撮影/植原義晴)