パラパワーリフティングの山本恵理(日本財団パラリンピックサポートセンター)が、オンラインセミナー「パラスポーツのポテンシャルについて為末大氏と考える」(ゲッティイメージズ株式会社主催)にゲストスピーカーとして出演。車いすテニスプレーヤーの16歳、坂口竜太郎も参加し、為末氏とパラアスリートを取り巻く現在の環境について語った。
現在のパラスポーツの競技環境について為末氏から問われた山本は、変化のひとつに2018年に完成したパラスポーツ専用体育館の「日本財団パラアリーナ」を挙げ、「誰もが使える施設で、稼働日率はほぼ100%。トップ選手と競技を始めたばかりの選手が一緒に使用でき、また競技間のつながりができた」と話し、その魅力を実感しているようす(※パラアリーナは現在、「新型コロナウイルス対策施設整備」で体育館を提供中のため利用不可)。
また、坂口は「車いすテニスという競技は広く知られていると感じるが、車いすでは練習できないコートもあるし、国内ではジュニアの大会がまだ少ない。チャレンジする場が増えるように、いろんな人に情報を発信していきたい」と、次世代選手ならではの目線で語った。
さらに、陸上選手として3度、オリンピックに出場した為末氏が、「パラリンピックは伴走者など関わる人の多さと、モノを使うことがオリンピックとの違いだと思っている」と意見を述べると、山本は同調しつつ、「障害者と健常者が一緒にやっているのがパラリンピック」と付け加えた。「パラパワーリフティングは身体ひとつで勝負する競技だけれど、バーベルの上げ下げをサポートする健常者の補助員なくしては成立しない」と、自身の経験を交えて選手を支える人たちの存在の大きさに触れた。
パラサポの職員としてダイバーシティ研修などの講師を務める山本によると、パラスポーツを題材に障害者とのコミュニケーションについてセミナーを開くと、参加者から「パラスポーツって、パラリンピックだけじゃないんですね」といった感想を寄せられることが多いといい、「パラスポーツは、スポーツだけじゃなく、プラスアルファのいろんな価値があることを知ってもらいたい」と、力強く話していた。
(取材・文/荒木美晴)