「WPA公認 第35回日本パラ陸上競技選手権大会」が8日から2日間にわたり、三重交通Gスポーツの杜 伊勢陸上競技場で開かれた。
競技2日目の9日は雨が降り、風が強く吹くコンディション。そのなかで、パラ非種目の男子200m(T13)で福永凌太(日体大)が21秒95のアジア新記録をマークした。パリ2024パラリンピックの代表に内定している福永は、「(メイン種目のひとつの)400mから見ても、21秒台で走らないといけないのでギリギリのタイム。理想の走りを追い求めるなかでのレースとしては、今日はうまくまとめられたと思う」と話した。また、川上秀太(アスピカ)は22秒40で2位。同100mは10秒98で制した。
同1500m(T11)は和田伸也(長瀬産業/ガイド・長谷部匠)が4分11秒42でフィニッシュした。和田は、先月の世界選手権では同種目で失格となっていただけに「今大会で結果を出そうと思っていた」と振り返り、最後まで粘りの走りを見せていた。同1500m(T20)は岩田悠希(KPMG)が3分58秒29で制した。
同200m(T64)は大島健吾(名古屋学院大AC)が23秒42の大会新記録で優勝。大島は8日の同100mで優勝しており、2冠を達成した。
同100mのT46は三本木優也(NTT東日本)が11秒58。「走った感覚よりもタイムが出なかった。(パリの選考に必要なランキングを上げるために)目標としていた10秒95に届かず、最低限のラインを達成できなかった」と唇をかんだ。T46 は石田駆(トヨタ自動車)が11秒29でゴール。石田もタイムが上がり切らず、「向かい風で上半身が起き上がるのはコントロールできたけれど、下半身の動きと連動できなかった」と振り返った。
女子走幅跳(T63)は前川楓(新日本住設)が4本目に4m54を跳び、優勝した。男子走幅跳(T63)は近藤元(積水化学工業)が6本目で6m03をマークし、日本選手権では初優勝を飾った。同じクラスの大先輩で、パラ陸上男子の第一人者である山本篤(新日本住設)は先月、現役引退を発表。近藤は、「篤さんともっと競いたかった。今日は自分に集中したけれど、喪失感が大きかった」と語り、「今後、自分が引っ張っていくには篤さんくらいの記録を出さないといけない」と気を引き締めていた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)