陸上の男子100メートル(T54)の決勝が21日行われ、日本の永尾嘉章が15秒12で銀メダルを獲得した。
51歳の永尾は、これまでに6度のパラリンピックに出場。日本の陸上車いすレース界のパイオニアであり、短・中距離を得意としている。予選も決勝も雨の中のレース。冷静に状況を見極めて、滑りにくい専用のグローブを着用した。銀メダルだったが、その色よりも価値あるものを手に入れた。近年、世界を席巻しつつあるタイや中国の選手と競っても、最後まで自分の走りができたことは大きな自信になった。実は、永尾が国際大会の個人種目でメダルを獲得したのは、99年以来なのだという。
T54は世界的にも選手層が厚いクラス。スタートの漕ぎだしなどパワーが求められる短距離界を、今なお最前線でけん引する永尾の活躍は、若い後輩たちにとって改めて大きな刺激になったに違いない。