リオパラリンピック代表の最終選考会を兼ねたジャパンパラ陸上競技大会が6月3日から2日間の日程で、新潟市のデンカビッグスワンススタジアムで行われた。
女子100mのT42(大腿切断などのクラス)で大西瞳(ヘルスエンジェルス)が16秒90のアジア新記録を樹立。「すごく楽に後半までいけた。リラックスして走れた」。前回ロンドン大会では補欠で悔しい思いをした大西。この数年間、16秒台を目指してきただけに、電光掲示板にその記録が表示されると、思わず目に涙が浮かんだ。「16秒台を出さないとパラでは勝負できないと思った。リオに行けるかまだ分からないが、やっとスタートラインに立てたと思う」と喜んだ。
T47 (片前腕切断など)では、ハンドボール選手から陸上に転向して1年で頭角を現し、注目を集める辻沙絵(日体大)が100m、200、400mの3種目で優勝。200mでは27秒38の日本記録をマークするも、「26秒台を狙っていた」と悔しそうな表情を見せた。リオに向けては「出場できたら400mをメインでやりたい。自己ベスト(59秒72)の59秒台でいけばメダル圏内だと思う。自分より速い人と走るためいろんな大会に出たい」と話した。
車いすの男子T54の100mは永尾嘉章(ANAORI A.C)が14秒65の大会新記録で優勝。日本選手権で敗れた生馬知季(WORLD-AC)に大差をつけて勝利し、借りを返した永尾は「まだまだ負けないよ!」と一言。また、圧倒的強さで400mも制して二冠。リオに選ばれれば自身7度目となるパラリンピックに向けて順調な仕上がりを見せた。
視覚障がいマラソンでリオ代表推薦1位に内定しているT12クラスの堀越信司(NTT西日本)は、5000mを15分11秒05で走り、自身が持つ大会記録を4秒以上更新。“リオに向けた5000m”と位置付けたレースは、「15分10秒台を目標にしていたので悪くない」と好感触だった。
注目の山本篤(スズキ浜松AC)はT42(片大腿切断など)の走幅跳で6m49をマーク。今年5月の日本選手権で6m56の世界記録を樹立。その約3週間後にリオで行われたグランプリシリーズでデンマークの選手に更新されたが、「リオでは記録よりも金メダル」と話すように自分の跳躍にのみ集中し、本番に挑むつもりだ。
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)