パラバドミントンの世界選手権がスイス・バーゼルで開幕した。
上肢障害女子SU5のシングルス世界ランキング6位の豊田まみ子(ヨネックス)が、予選リーグ初戦で同20位のインドの選手に2-0(21-3、21-6)で勝利した。「初戦で緊張したけれど、楽しんでやろうと思ってました」と語り、笑顔がはじけた。
2013年の世界選手権でシングルスで優勝、15年は準優勝、17年は3位と表彰台を守ってきた。さらなる飛躍が期待されていたが、昨年9月、練習中に右足付け根付近の筋肉を断裂。トップ選手が集まるジャパン国際とアジアパラ競技大会の欠場を余儀なくされ、「またバドミントンができるようになるのだろうか……」と落ち込んだ。
競技人生を左右しかねない大ケガに焦る豊田を、周囲の人々が支えてくれた。入院・手術と懸命なリハビリを経て、今年2月に本格的に練習を再開することができた。3月のトルコ国際のミックスダブルスで復帰し、4月のドバイ国際にも出場。いずれも表彰台には届かなかったが、決勝トーナメントまで勝ち上がり、「ここまで戦える」とひとつの自信になった。
東京2020パラリンピックの出場権は来年3月までの14大会の獲得ポイントで争う。ダブルスの成績が重視されるが、豊田はこの先もシングルスを中心に転戦していく予定とのこと。「パラリンピックレースの第一線にギリギリで間に合ったところ。パラの出場権は獲得したい気持ちはあるけれど、いまは一大会ずつ、一試合ずつ、結果を残していきたい」
不屈の闘志で戻ってきた豊田が、ふたたびコートで輝き始める。
(取材・文・撮影/荒木美晴)