東京2020パラリンピックで初採用となるパラバドミントン。5月25日に日本障がい者バドミントン連盟が発表した日本代表内定選手6人のうち、4人がオンラインで記者会見に臨み、開幕まで3カ月を切った本番に向け抱負を語った。
上肢障害SU5の鈴木亜弥子(七十七銀行)は、女子シングルスでパラリンピック初代女王の期待がかかる。女子ダブルスで鈴木とペアを組む下肢障害SL3の伊藤則子(中日新聞社)は「鈴木選手の機動力と緻密な計算で試合を作ってもらっている。前衛の私も前でショットを裁いてコースを突き、鈴木選手に決めてもらえるよう組み立てていきたい」とコメントした。
車いすの男子ダブルスで内定を得たのは、19歳の梶原大暉(日体大)と47歳の村山浩(SMBCグリーンサービス)のペア。ふたりは東京パラポイントレース初戦の2019年3月のトルコ国際からペアを組み始め、着々と力を伸ばしてきた。25歳以上年が離れているが、どちらも「絆は深い。いい関係が築けている」と言い切る。パラリンピックに向けて、村山は「初採用なので、誰も経験したことのない未知の領域。トップ中のトップのみが出場するので、日の丸をつけて戦う意味を重く受け止めている」と話した。
なお、この日の会見には出席しなかったが、車いす女子ダブルスで世界ランキング1位の里見紗李奈(WH1/NTT都市開発)・山崎悠麻(WH2/NTT都市開発)組も代表に内定している。
各選手のコメントは以下の通り
■梶原大暉(車いすWH2/日体大)
コロナ禍でほぼ1年間、村山さんに会えなかったが、今年1月末からようやく一緒に練習できるようになった。これから本番までに村山さんと協力してレベルアップを図りたい。お世話になった方々に恩返ししたいという気持ちがモチベーションになっている。パラリンピックでは感謝の気持ちを伝えるプレーがしたい。
■村山浩(車いすWH1/SMBCグリーンサービス)
パラレースを転戦するようになった2019年当初の目標がパラに出場することだった。それが現実となり、素直にうれしい。大暉も私も肩が強く、車いすでもハイクリアを打って奥まで返せるのがストロングポイント。我々がプレーする姿を見てもらい、多くの人にパラバドミントンのことを知ってもらいたい。
■伊藤則子(下肢障害SL3/中日新聞社)
いつも支えてくれる夫やトレーナー、コーチに恩返ししたいという気持ちが強く、ここまで頑張れた。内定をもらってすごくうれしいし、ほっとしている。ダブルスはSL4同士のペアが強いが、鈴木選手の機動力と私の前衛でショットを止めるというSL3-SU5のスタイルを極めて勝ちたい。
■鈴木亜弥子(上肢障害SU5/七十七銀行)
1年延期はほかの選手も同じ条件。その中で何ができるかを考えてやってきた。フットワークの歩数が多いので、時間をかけて改善に取り組んでいる。自分が優勝すればパラバドミントンの認知度が上がると思うので、結果を残していきたいと思う。ダブルスはパートナーの伊藤選手の一生懸命さに引っ張ってもらっている。
(取材・文・撮影/荒木美晴)