ウィルチェアーラグビーの第16回日本選手権は21日、出場8回目の北海道 Big Dippersが2連覇中のBLITZ(埼玉)との決勝を56-44で制し、初優勝に輝いた。
常勝のBLITZに対して、北海道の決勝進出は初。ナショナルチームのエース池崎大輔を中心に、着実にレベルアップを図ってきたチームが、その実力を発揮した。
大会初日の予選で北海道はBLITZに50-51で敗北を喫している。「必ずリベンジして、北海道にトロフィーを持ち帰る」。試合開始前、こう話していた中村飛朗ヘッドコーチは、敗戦した予選とは違った布陣で決勝に臨んだ。相手ナンバーワンプレーヤーで、今大会絶好調の島川慎一の走力を止めようとディフェンスを重視した。それが見事に当たり、序盤からターンオーバーを奪い、第一ピリオド終了時点で16-12とリード。その後も攻撃の手を緩めず点差を広げ、第4ピリオドの途中からは成長著しいハイポインター和知拓海らを投入。攻撃の手を緩めない北海道はBLITZに一度もリードを許すことなく、日本一の座に駆け上がった。
大会MVPの活躍を見せた池崎は、試合後「チームにミスがほとんどなかった。相手を消耗させ、守備で自分たちのリズムを作りながら、流れを掴むことができた。皆の強い気持ちも結果につながった」と、その勝因を語り、素直に喜んだ。
だが、日本のエースは常に高みを見ている。「相手を見てから動くのではなく、どんなときもコートの状況を見て先読みしてプレーできるようになれば、もっと楽に試合を運べるはず。僕らはチャレンジャーであり続ける。来年も新たな戦い方を身につけてこの舞台に挑みたい」と続けた。
今大会は、若手の活躍、そしてチームの底上げも目立った。BLITZ とOkinawa Hurricanesの決勝常連チームに加え、優勝した北海道、3位のAXE(埼玉)など各チームの台頭が著しく、日本選手権はますます面白くなった。次回の大会もまた、拮抗した試合が展開されるだろう。
▼第16回ウィルチェアーラグビー日本選手権大会
●最終順位
優勝 : 北海道Big Dippers(北海道)
2位 : BLITZ(埼玉)
3位 : AXE(埼玉)
4位 : Okinawa Hurricanes(沖縄)
5位 : Freedom(高知)
6位 : BLAST(千葉)
7位 : RIZE(千葉)
8位 : HEAT(大阪)
●個人賞
<MVP>
3.0クラス 池崎 大輔 (北海道Big Dippers)
<MSP>
3.0クラス 島川 慎一 (BLITZ)
<Best Player>
0.5クラス 岸 光太郎 (AXE)
1.0クラス 荻野 晃一 (BLITZ)
1.5クラス 乗松 聖矢 (Okinawa Huricanes)
2.0クラス 羽賀 理之 (AXE)
2.0クラス 菅野 元揮 (BLITZ)
2.5クラス 仲里 進 (Okinawa Huricanes)
3.0クラス 池 透暢 (Freedom)
3.5クラス 峰島 靖 (AXE)
(取材・文/瀬長あすか、撮影/吉村もと)