今年で21回目を迎える水泳の国内最高峰の大会「2011ジャパンパラリンピック水泳競技大会」が13、14日の2日間、大阪・門真市のなみはやドームで行われた。肢体不自由、視覚障害、聴覚障害、知的障害を持つ国内のトップスイマーが参加した。
国際パラリンピック委員会(IPC)公認大会として実施された今大会。来年のロンドンパラリンピック出場を目指す選手にとっては、記録だけでなく現時点の力を確認するうえでも重要な位置づけとなっている。
「ロンドンを目指すなら、金しかない」
日本女子競泳界のエースに成長した秋山里奈(視覚障害、S11)は、100m平泳ぎと背泳ぎに出場。今大会を「ロンドンを目指せるか目指せないか、確かめたい大会だった」と話す。
得意の100m背泳ぎでは1分20秒30をマーク。自身が持つ大会記録を塗り替えたものの、世界記録にはわずか0.08秒及ばなかった。
もともと、長いスパンでは目標をたてないタイプの秋山も、今年ばかりは「ロンドンを目指すなら、金しかない」と話し、1年後の“世界の頂点”を目指している。今回も自ら試練を課して臨んだだけに、結果に悔しそうな表情を見せた。秋山は、「ロンドンでは、決勝は1分16秒か17秒台のレースになるはず。それを見越して、今日は18秒を切ることが目標だったし、遅くても20秒を切りたかった。今日は(自分の泳ぎに)納得いっていないし、もっと実力をつけないと勝てない」とレースを振り返り、唇をかむ。
一方で、課題だった苦手の後半は手ごたえを感じたようす。「これまで後半は体力がもたなかったけど、がんばれるようになった。かわりに前半のスピードのコントロールが難しくなるので、これからの1年間でしっかり調整していきたい」と話し、前を向いた。
理想の泳ぎを目指して
北京パラリンピック金メダリストの鈴木孝幸(運動機能障害、S5)は、3種目で優勝。14日は、50m背泳ぎと100m自由形の2種目に出場しており、予選とあわせて1日4本のレースに体力は消耗気味。「とくに100m自由形は自己ベストを狙ったけど厳しかった。でも、これくらいは泳ぎ切れるようにならないと」
また課題として、平泳ぎのフォームの修正を挙げた鈴木。「もう少し理想に近づけるようにしたい」と話し、ロンドンに向けた泳ぎこみを誓った。
なお、今大会期間中に、カナダでパンパシフィック大会(8月10〜14日)が開催されており、肢体不自由と知的障害の選手・役員あわせて43名が参加している。そのため、今大会の出場者は176名と例年より少なかった。
(取材・文/荒木美晴・撮影/吉村もと)