静岡県立水泳場で行われている「パラ水泳ワールドシリーズ富士-静岡2026」は31日、大会最終日を迎えた。
男子100m背泳ぎでは、日本勢が表彰台を独占した。パリ2024パラリンピックのS8クラスの銀メダリスト・窪田幸太は、予選で愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の派遣基準記録Aを突破。決勝ではさらにタイムを伸ばし、1分6秒45で2位に入った。課題としていた後半の持久力にも手ごたえをつかみ、「今大会はいいレースができた。アジアパラに向けて収穫があった」と振り返った。決勝は齋藤正樹(S14)が制し、荻原虎太郎(S8)が3位に入った。
今年3月のワールドシリーズ・オーストラリア大会でクラス分けを受け、S13からS12へ変更となった齋藤元希も、男子100m背泳ぎ予選で自己ベストに迫る1分3秒46をマークし、アジアパラ派遣基準記録Aをクリアした。B決勝では7位となった。クラス変更については、「以前からドクターに『12と13の間』と言われていたので受け止めている」と齋藤。また、アジア記録更新を目指す同200m個人メドレーはアジアパラの実施種目ではないが、S13クラスの派遣基準記録Bを突破。「水泳を楽しむことも、やるべきことも変わらない」と前向きな姿勢を示した。
女子100m背泳ぎでは、中学3年の佐藤璃來(S14)が予選から約1秒タイムを縮めて2位に入り、ユースカテゴリーでは1位を獲得した。4歳から水泳を始め、昨年パラ水泳デビュー。今年5月のワールドシリーズ・ベルリン大会でS14クラスに認定され、今大会が2度目の国際大会となった。アジアパラ派遣基準記録を3種目で突破し、「最後まで諦めずに泳ぎ切りたい。出場する全種目で自己ベストを出したい」と意欲を見せた。
2018年のジャカルタ大会以来のアジアパラ出場を目指す水上真衣(S8)は、初日の女子100m自由形で派遣基準記録Aをクリア。最終日は女子100mバタフライ予選で自己ベストを12秒以上更新する快泳を見せた。
昨年4月のクラス分けにより、バタフライでは両手ではなく片手でのタッチが認められたことで、麻痺がある右手を使わずに済むようになり、武器である左手とキックを最大限に活かした泳ぎを実現した。レース後は「大ベスト。こんなにいいタイムが出るとは思わなかった」と喜び、「前回の杭州大会出場を逃したときから、自国開催のアジアパラには必ず出ると決めていた。過去2大会同様にメダルを獲りたい」と、力を込めた。
同じく、2大会ぶりのアジアパラ出場を目指す笠本明里(S13)も、2日目の100m平泳ぎに続き、100m背泳ぎでも派遣基準記録Aを突破した。
今大会、5種目にエントリーしている中学2年の都甲万結(S9)は、最終種目の女子50m自由形決勝で派遣基準記録Bを突破した。予選ではS7クラスの世界選手権銀メダリストのVARGAS BLANCO Sara(コロンビア)の隣のレーンで泳ぎながらも、「競り合おうとすると自分のペースが乱れるので、引っ張られすぎないように注意した」と冷静なレース運びを見せ、派遣基準記録U21を上回るタイムを記録した。
都甲にとってワールドシリーズ出場は昨年に続いて2度目。昨年12月のアジアユースパラ競技大会では、個人5種目とリレーで金メダル5個、銀メダル1個を獲得した。冬季にはノルディックスキーにも取り組んでおり、「腕や肩の使い方が水泳に生きている。両方頑張りたい」と笑顔で語った。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)
MA SPORTS 代表者、ライター