水泳 — 2025/4/10 木曜日 at 23:01:09

【WS2025fuji】男子100m平泳ぎで山口が2年ぶりに世界新記録更新!

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男子100m平泳ぎで山口が自身が持つ世界記録を塗り替える好パフォーマンスを発揮した=富士水泳場(撮影/植原義晴)

パラリンピック、世界選手権に次ぐ位置づけとなるパラ水泳の国際大会「パラ水泳ワールドシリーズ富士-静岡2025」が10日、富士水泳場で開幕した。ワールドシリーズが日本で開催されるのは初で、21の国と地域から233人がエントリー。日本の選手は9月にシンガポールで開かれる世界選手権の代表選考も兼ねており、パリ2024パラリンピックのメダリストも多数参加した。

パラ水泳は選手の障害の種類や程度により「クラス分け」を実施し、同じクラスの選手同士でタイムを争うが、ワールドシリーズはマルチクラス競技形式で実施され、異なるクラスの選手が一緒に泳いで順位を競う。クラスが混在する場合でも順位づけを可能としているのが、障害の程度とタイムに応じてポイントを付与するWPSポイントシステムだ。それぞれ個人が出したタイムをWPSポイントに変換し、このポイントが最も高い選手が1位となる。さまざまな障害や能力を持つ選手が公平に、かつ一緒に競技することができることから、インクルーシブな大会として注目されている。

初日は男女100m自由形や同平泳ぎなどを実施。男子100m平泳ぎでは、山口尚秀(SB14/四国ガス)が予選を1位で通過し、世界選手権の派遣基準記録をクリア。決勝では後半追い上げる力強い泳ぎで1分2秒64の世界新記録をマークし、金メダルを獲得した。山口が自身が持つ世界記録を更新するのは2年ぶり。山口は「世界の競技レベルが上がるなかで優勝できてよかった」と笑顔を見せた。また、佐藤悠人も予選・決勝とも世界選手権の派遣基準記録を突破する好パフォーマンスを見せた。

女子100m平泳ぎは、芹澤美希香(SB14/宮前ドルフィン)が4位。決勝では、パリ2024大会の視覚障害クラス(SB11)の金メダリストのダリア・ルキアネンコ(NPA)の隣のレーンで泳ぎ、「速いな、と。負けないように泳ごう」と、普段は一緒に泳ぐことがないトップスイマーから刺激を受けたことを明かした。

パリ2024大会の女子100m自由形で銅メダルを獲得した辻内彩野(S12/三菱商事)は同種目にエントリーし4位。惜しくも表彰台は逃したが、予選を1分01秒53で泳ぎ、世界選手権の派遣基準記録を突破した。女子50mバタフライは決勝レースのみ実施。この種目を得意とする西田杏(S7/シロ)が自己ベストとなる36秒61で優勝を果たし、世界選手権の派遣基準記録もクリアした。

パリ2024大会では4種目でメダルを手にした鈴木孝幸(GOLDWIN)は3種目にエントリー。初戦の男子100m自由形は銀メダルを獲得した。ポイントシステムについて、「全クラスで競えるのは楽しい」と鈴木。日本初のワールドシリーズ開催についても「パラ水泳の普及の一助になればうれしい」と、言葉に力を込めた。

田中映伍(S5/東洋大)は男子50m背泳ぎと同50mバタフライで2冠を達成。日向楓(S5/中央大)も男子50m背泳ぎで2位に入った。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)