「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」は21日、名古屋市総合体育館レインボープールで水泳の決勝が行われた。女子100m平泳ぎ(SB14)では木下あいら(個人)が1分16秒42のアジア新記録を樹立して優勝を果たした。
木下はパリ2024パラリンピック後に再生不良性貧血と診断され、約1年4カ月の闘病を経て、今年1月にプールへ復帰した。復帰直後から大会で記録を更新し続けている理由について、当初は「泳ぎたい気持ちが高まっているから」と話していたが、現在はそこに「負けたくない」という思いも加わっているという。
今大会はここまで100m、200m自由形(S14)で金メダルを獲得。多彩な種目で力を発揮する木下だが、平泳ぎは「一番得意ではない種目」に挙げる。それでも今回は好記録で優勝し、「そこまで練習してないのでアップで調整した。まさかアジア記録が出せると思っていなかったので、うれしいし、びっくりです」と目を丸くした。
これで今大会3個目の金メダル。22日に100mバタフライ、そして最終日の23日に得意種目の200m個人メドレーを残すなか、「平泳ぎでベストを出したことは、次につながると思う」と手ごたえを語り、次のレースを見据えた。
南井と久保が2大会連続でワン・ツーフィニッシュ
男子100mバタフライ(S10)は、アジア記録保持者の南井瑛翔(トヨタ自動車)が1分0秒10で優勝し、久保大樹(クボタロジスティクス)が1分3秒2で2位に入った。南井は「少しタイムが伸びなかったのが悔しいけれど、自国開催の大会で金メダルを獲れたことはとても価値があることだと思う」と喜びを語った。
久保は東京2020パラリンピックの代表内定がクラス変更を理由に大会直前に取り消されるという苦難を経験した。葛藤を乗り越えて臨んだ前回の杭州大会でも、南井に続く2位。そして、競技人生最後の大会と位置付ける今大会でも銀メダルを獲得した。「ワン・ツー(フィニッシュ)で行きましょうって彼に言われて。達成できてよかった」と南井との表彰台を喜び、「東京パラ以降、ここを目指してやってきた。本当にうれしい」と目を潤ませた。
同100m平泳ぎ(SB14)では、山口尚秀(四国ガス)が自身の持つ世界記録に0秒15と迫る1分2秒53で優勝した。ターンのタイミングがわずかに合わず、目標としていた世界記録更新には届かなかった。好調だっただけに「悔しい」と率直な想いを口にしたが、「頑張ってきた甲斐があるメダル。まだまだ向上していきたいという気持ちがあるし、これからどんどん記録を縮めていきたい」と話し、前を向いた。
同400m自由形(S9)では、18歳の川渕大耀(NECグリーンスイミングクラブ溝の口)が4分18秒68の大会新記録で優勝した。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)
MA SPORTS 代表者、ライター