「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」は20日、スカイホール豊田で卓球のシングルス決勝が行われ、男子クラス9の岩渕幸洋(べリサーブ)がZHAO Yiqing(中国)を11-7、11-5、15-13で下し、初優勝を果たした。
岩渕は序盤から高い攻撃力で主導権を握り、2セットを連取。第3セットは追いかける展開となったが、相手にセットポイントを握られてから強打で追いつき、一進一退の攻防を制した。勝利が決まると膝をつき、喜びをかみしめた岩渕。力強いガッツポーズと、手で「1番」を示すポーズで観客の声援に応えた。
試合後、目に涙を浮かべて報道陣の前に現れた岩渕は、「とてもうれしいです。それ以上ないです」と率直な思いを口にした。今大会は「緊張した試合をずっと続けてしまい、昨日の試合と今日の準決勝も入りがすごく悪かった」と振り返り、決勝では「自分のプレーに集中しようと意識して臨んだ」という。
現在は世界ランキング6位につける岩渕だが、アジアパラを含むアジアの大会では、これまで金メダルに届いていなかった。4度目のアジアパラでついに栄光をつかみ、「最後の試合は本当に自己ベストに近いプレーができて、目標にたどり着けた。またひとつ、自分のなかで成長できたことを自信にして、また頑張っていきたい」と、さらなる飛躍を誓った。
杭州大会2位の舟山もアジアパラ初制覇!
同クラス10の舟山真弘(早稲田大)は、LIN Chun-ting(台湾)を15-13、11-6、13-11で破り、金メダルを獲得した。相手の鋭いショットに対するレシーブがアウトになるなど、序盤は失点が重なり、一時は4-8とリードを許した。そこから4連続得点で同点に追いつくと、集中力を切らさず接戦を制した。第2セットも5-6から連続得点で流れを引き寄せ、最後は相手の強烈な返球をカウンターで打ち抜いた。第3セットはマッチポイントを握ってから相手に粘られたものの、最後まで落ち着いて勝ち切った。
今大会は予選リーグで一度、中国の選手に敗れた舟山。「良い意味で開き直れた」と振り返るように、決勝ではプレッシャーを振り払い、のびのびとプレーした。
今年1月に腎臓がんが見つかり、2月に摘出手術を受けた。入院を経て、約1か月半後に競技に復帰。体重は8キロほど減ったものの、トレーニングを再開するなどしてコンディションをほぼ元の状態まで戻してきた。「今年はこのアジアパラと世界選手権を目標に練習をしてきた。自分のキャリアとして初めての金メダルを日本で獲ることができて、恵まれているなと思う」と、笑顔で語った。
山口はフルセットの激闘制す
女子クラス11は、山口美也(日立ハイシステム21)がWONG Ting Ting(香港)に12-10、8-11、8-11、11-5、11-5で競り勝ち、金メダルを獲得した。観客席からの声援を力に、フルセットの激闘を制した山口は、「試合前は心臓が飛び出るかと思うくらいドキドキしていたと振り返った。「セットをリードされる展開になったが、とにかく落ち着いて、1本1本ラリーを続けることを意識した。すごくうれしいです」と、笑顔で喜びを語った。
男子クラス7の前回大会王者の八木克勝(電通デジタル)は、準決勝で強敵のLIAO Kele(中国)にストレート勝利。決勝ではパラリンピック金メダリストのYAN Shuo(中国)と対戦し、第2セットを奪ったものの、11-13、11-8、5-11、3-11で敗れて銀メダルだった。同クラス3の北川雄一朗(相生市役所)は銅メダル。同クラス8の阿部隼万(キンライサー)はパリ2024パラリンピック銀メダリストに敗れて準優勝。女子クラス8の友野有理(タマディック)は世界ランキング1位の中国選手に屈して銀メダルとなったものの、3大会連続の表彰台を獲得した。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)
MA SPORTS 代表者、ライター