今年で24回目を迎える「2014ジャパンパラ水泳競技大会」が7月20日から2日間の日程で、大阪・門真市のなみはやドームで行われた。障害者水泳の国内最高峰の大会で、約250名がエントリー。ふたつのアジア新記録が誕生するなど、ハイレベルなレースが繰り広げられた。今大会は10月に韓国・インチョンで開かれるアジアパラ大会の代表選考会を兼ねている。
10代の若手選手が存在感
大会を盛り上げたのは、10代の若い選手たちだ。高校1年の池愛里(峰村PSS東京)が50m自由形(S10クラス)で、また高校2年の鎌田美希(大阪シーホース)が400m自由形(S8クラス)でそれぞれアジア新記録を樹立した。
池は、小学3年生の時に左足にできた肉腫を手術で摘出。その影響で左足首の機能を一部失った。リハビリで始めた水泳を本格的に始めると、めきめきと頭角をあらわし、昨年のこの大会では中学3年生ながら4種目中3種目で優勝。一気に注目を集めた存在だ。今大会も50m自由形以外にも、100m自由形、100m背泳ぎ、200m個人メドレーなどを制しており、さらなる成長をみせた。170cmを超える身長は「まだ伸びている」そうで、将来の伸びしろが楽しみな選手のひとり。アジアパラに向けては「しっかり練習したい」と気を引き締めた。
鎌田は、最終日のレース後に自分の泳ぎを振り返り、「最近になって、身体全体を使ったいい泳ぎができるようになった」と語った。今年に入ってからコーチにつき、泳ぎの質を上げる練習に取り組んできた。その結果、上半身だけでなく足の動きも意識した泳ぎをマスターしつつあるという。「今のいいイメージのまま、アジアパラにつなげていきたいですね」と笑顔を見せた。
同世代には、森下友紀(千葉ミラクルズ)、一ノ瀬メイ(京都SC)ら伸び盛りの選手がいる。彼女たちは、2016年リオパラリンピック、2020年東京パラリンピックの中心選手となるはずだ。池が「切磋琢磨していきたい」と話すように、障害クラスは違えど、互いに刺激し合える仲間が近くにいることはアスリートにとってとても重要なことだ。未来に向けて成長していく彼女たちから、目が離せない。
リオ、東京に向けてそれぞれの決意
ロンドンパラリンピック50mバタフライの銅メダリスト・小山恭輔(コロプラスト)は、新しく取り入れたトレーニングで83キロあった体重を70キロまで落として大会に臨んだ。身体が軽くなると同時に筋肉の質が上がり、調子は上々だ。「リオはもちろん、32歳で迎える2020年の東京に向けて、今から身体を作っていきたい」と6年後を見据える。
2004年に最年少の13歳でアテネパラリンピックに出場して以来、北京、ロンドンと3度のパラリンピックに出場している山田拓朗(NTTドコモ)。今年3月に水泳部で活躍した筑波大学を卒業し、4月から社会人として新たなステージで世界を目指している。今大会は100m自由形(S9クラス)で自身が持つ大会記録を6年ぶりに塗り替えた。「とくに後半は自分の泳ぎが出せた」。一方で、「短い距離のレースは思うような泳ぎができなかった」と反省を口にし、「しっかりと修正して、まずはアジアパラで結果を出したい」と話した。
(取材・文・撮影/荒木美晴)