テニスの「楽天オープン2022」は7日、有明コロシアムでダブルスの決勝が行われ、荒井大輔(BNPパリバ)/三木拓也(トヨタ自動車)組が川合雄大(トップアスリートグループ)/小田凱人(東海理化)組を6-4、7(4)-6で下し、優勝を果たした。
雨天のためインドアコートを予定していたが、直前にセンターコートでの試合に変更。約2時間の待ち時間ができたものの、両ペアともしっかりと対応して臨んだ。第1セットは荒井・三木組が第7ゲームのブレークに成功して先取し、第2セットもリードを奪う。しかし、川合・小田組も粘りを見せてすぐにブレークバックで追いつく展開に。荒井・三木組は2度のチャンピオンシップポイントをしのがれ、タイブレークに突入するが、最後まで集中力を保ち、勝ち切った。
試合後の会見で、荒井は「好調だった僕のサービスが入らなくなって、タイブレークになってしまった。その時に三木君が『これもいい経験ですね』と言ってくれて、心強かった」とコメント。三木も「助け合ってプレーできていたので不安はなかった」と振り返った。荒井・三木組は、昨年の東京パラリンピックではベスト16。三木は「東京パラで苦い想いをして、(同じ会場の)有明で勝ちたかったので、それが実現できて本当に嬉しい」と笑顔を見せていた。
また、シングルスは準決勝が行われ、小田が6-0、6-0で髙野頌吾(かんぽ生命保険)に勝利し、決勝に駒を進めた。小田と高野は昨年のジュニアのワールドチームカップでともに日本代表として戦い、初優勝の喜びを分かち合った仲。
そこから飛躍を遂げ、シニアでも世界ランク5位につける小田について、高野は「悔しさはある。でも、まだ自分がその段階に行けていないので、今は尊敬の気持ちが強い」と率直な思いを語る。高野が見据えるのも2024年のパリパラリンピック。「その目標に向けて、トレーニングをしていい結果を残していきたい」と話し、前を向いていた。
準決勝のもう一試合は、世界ランク2位の国枝慎吾(ユニクロ)と同6位の三木が対戦。序盤から国枝の威力あるサーブと鋭いショットに押された三木は、2-6、3-6で敗れ、「僕のボールが悪かったので拮抗したラリーに持ち込めなかった」と振り返った。国枝に対しては11連敗となってしまったが、今季は精力的にツアーをこなし、全米オープンでは格上のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)に勝利するなど活躍。世界ランクは過去最高タイの6位まで上げており、パリに向けてさらなるスケールアップが楽しみだ。
8日のシングルス決勝も、有明コロシアムのセンターコートで行われる。同じ会場で行われた昨年の東京パラリンピックは無観客だったが、今回は多くの観客の前でプレーする。国枝は「パラの前からずっと満員の観客でやりたいと言っていたが、昨年は叶わなかった。もしかしたら明日それが実現するかもしれない。満員の観客の前で自分がどういうプレーができるかも含めて、すごく楽しみ」と語った。
(取材・文/荒木美晴、撮影/加藤誠夫)