福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートテニスコート等で行われている「天皇杯・皇后杯 第39回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open 2023)」は22日、クアードのシングルス決勝が行われ、世界ランキング1位で第1位シードのニールス・フィンク(オランダ)が世界ランキング2位で第2シードのサム・シュローダー(同)に6-3、6-3で勝利し、大会初優勝を果たした。
第1セットは、ボディショットやリターンが冴えてフィンクが3ゲームを連取。そこから互いにブレークする展開となるが、序盤のリードを保ったフィンクが先取した。第2セットはシュローダーが強打で試合を動かすが、フィンクの堅い守りの前にポイントを取り切れなかった。
24度目のライバル対戦を白星で飾ったフィンクは試合後、「サムのことは知り尽くしている。そのうえでミスを減らし、ラリーに入ったら守りを完璧にできたことがスコアにつながったと思う」と振り返り、笑顔を見せた。
また、ふたりはダブルスではペアを組み、見事に優勝。東京パラリンピックでもダブルスで金メダルを獲得しており、来年のパリ大会でも連覇が期待される。
女子ダブルス決勝は、上地結衣(三井住友銀行)/ホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)組がイスカ・グリフェン(オランダ)/大谷桃子(かんぽ生命)組を6-4、7-6で破り、優勝を飾った。上地・モンジャネ組は第2セットで1-4と追う展開となるが、そこから前に出る攻撃に切り替えてタイブレークに持ち込み、最後は息の合ったプレーで勝ち切った。
上地は「終始、集中してできた。彼女(モンジャネ)は同じ左利きでネット前にも積極的に前に出てくれる。最近ずっとペアを組んでいるが、コート外での考え方やテニスへの取り組み方など、意見が合う」とコメント。モンジャネも「ユイのことをリスペクトしている。今回ダブルスを組んで、学ぶことが多いと実感した」と話し、互いに健闘を称えていた。
男子ダブルス決勝は、三木拓也(トヨタ自動車)/小田凱人(東海理化)組が2-6、7-6、10-7でマイケル・シェファーズ/ルベン・スパーガレン(ともにオランダ)組を下した。
第1セットを失った三木・小田組は、第2セットを5-2としたところから逆転を許すが、タイブレークを制し、勝負の10ポイントタイブレークも連続ポイントを決めて勝利を手繰り寄せた。最後は雄叫びを上げて抱き合うふたりに、会場の観客からは大きな拍手が送られた。
記録によれば、16歳の小田はシニアに挑戦後、ダブルスでは2021年のトルコのITF FuturesやITF3の大会で優勝経験があるが、スーパーシリーズでのタイトルは初。「優勝を日本人ペアで飾れて嬉しい。会場の拍手が背中を押してくれた。まだダブルスは自分のことで精一杯なので、三木さんに助けてもらったし、学ばせてもらった」と小田が言えば、33歳の三木も「小田君がファイトしてくれた。彼がアグレッシブに動き回ってくれる方が良いとおもっていたので、僕は隙間を埋めることに頭を使っていた」と語り、ペアを組むのが初めてとは思えない相性の良さを見せていた。
大会最終日の23日は、男女のシングルス決勝が行われる。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)