福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートテニスコート等で行われている「天皇杯・皇后杯 第39回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open 2023)」は21日、各クラスのシングルスとダブルスの準決勝が行われた。
女子シングルスは、第2シードの上地結衣(三井住友銀行)が第4シードの大谷桃子(かんぽ生命)を6-1、6-4で下した。3月下旬に競技用車いすを新調し、実戦で乗るのは今回で3大会目だという上地。第2セットの第3ゲームが終わった後に、右のキャスターに違和感があったとしてリペアタイムを要求。応急処置を施し、その後はサーブで苦労したものの、リターンでリズムを死守し、粘る大谷を振り切った。
決勝では、世界ランキング1位で第1シードのディーデ・デ フロート(オランダ)と対戦する。「新しい車いすで彼女に対してどれだけ戦えるのか、楽しみでもある。これまでのような『勝たなければいけない』という気持ちではなくて、『挑戦者』としてできることを精一杯やりたい。どうなるか自分も楽しみ」と話した。上地はダブルスでも決勝進出を決めている。
男子シングルスは、第2シードの小田凱人(東海理化)がルベン・スパーガレン(オランダ)に6-1、6-2のストレートで勝利。また、第7シードの眞田卓(凸版印刷)は、ステファン・ウデ(フランス)を4-6、6-4、6-0のフルセットで破った。最終日の決勝は、天皇杯をかけて日本人対決となる。
眞田はリードしていた第2セットの第7ゲームでブレークを許し、4-3と追い上げられるが、第8ゲームはポイント0-40から3連続でリターンエースを決めるなどして追いつき、ブレークバックに成功。第3セットも好調のサーブで相手を崩すなど、序盤から主導権を握り、勝ち切った。
ウデとは2021年7月のブリティッシュオープン以来の対戦。これまで17戦して1勝にとどまっていたが、この日は終始、追い込まれても冷静にショットを選択し、相手にミスをさせる展開を作り出した。
このメンタルの安定感は、「1月に引退を表明した国枝慎吾さんの影響が大きい」と話す眞田。「日本人トップのなかでは、国枝さんが抜けて僕が最年長(37歳)になって、マインドに変化があった。どの試合も最後まで悔いを残さず、パフォーマンスが上がることを一番に考えて試合に臨むようになり、接戦のなかでプレッシャーから振れなくなるとか、ミスを恐れてしまうということが、今年の全豪オープンくらいからなくなった」と振り返る。それが、こうした結果につながってきているといい、「もっと高みを目指してがんばっていきたい」と、言葉に力を込めた。
クアードは、世界ランキング1位で第1位シードのニールス・フィンク(オランダ)、世界ランキング2位で第2シードのサム・シュローダー(オランダ)が勝ち上がり、22日の決勝に挑む。
フィンクとシュローダーはダブルスではペアを組み、決勝に駒を進めた。男子ダブルスは小田・三木拓也(トヨタ自動車)組が決勝進出を決めている。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)