大阪市のITC靭テニスセンターで開かれている「木下グループジャパンオープンテニスチャンピオンシップス」の車いすテニスの部は16日、ダブルスの決勝がセンターコートで行われ、船水梓緒里(ヤフー)・田中愛美(長谷工コーポレーション)組が上地結衣(三井住友銀行)・佐々木千依組を6-2、6-4で破り、優勝を果たした。
第1セットは第3ゲームで上地・佐々木組がブレークするが、船水・田中組がすぐにブレークバック。流れを掴むとそのままゲームを奪取した。第2セットは上地・佐々木組が2ゲームを先取。その後、船水・田中組が追いつくと、2度のブレークに成功し、タイトルを掴んだ。船水は「センターコートで観客に観てもらってプレーすることはあまりないので、緊張したけれど、田中選手が終始笑顔でいてくれて、気持ち的に救われた」と、安どの表情を見せた。
今大会のダブルスは、40-40から次の1ポイントでゲームが決まるノーアドバンテージ方式を採用。第2セットの終盤までに4度のジュースがあり、上地・佐々木組が3度ポイントを取るなど勝負強さを発揮。だが、船水・田中組も最後のチャンピオンシップポイントでジュースから丁寧な配球で相手のアウトを誘う意地を見せ、会場を沸かした。田中は「ノーアドバンテージ方式は難しく、先行されていたけれど、絶対に取りたいと思った。ふたりで集中力を上げてストレートで勝つことができた」と振り返った。
また、シングルスは準決勝2試合が行われた。第1シードの上地は須田恵美(DC1)に6-0、6-0で完勝した。終始、安定したパフォーマンスで試合を作った上地。とくに第2セットで失ったポイントは、自身のダブルフォルト2つ、サービスリターンのアウト1つの3ポイントのみ。今大会の目標に掲げるサーブの精度向上については、車いすを新しくする中でベストを模索中ではあるが、トスの位置を含めて理想的なモーションを体得できつつあるといい「脱力しつつ、しなりを使って振り切れるようになった」と自信をのぞかせた。
第2シードの田中は船水を6-3、6-3で下し、決勝進出を決めた。第1セットは第3ゲームで先にブレークを許すが、すぐにブレークバック。そのまま4連続でゲームを取り、主導権を握った。第2ゲームは船水のサーブが定まらないなか、田中はしっかりとポイントを重ねていく。4-0としたあと3ゲームを連続で奪われるが、そのあとも安定したプレーで取り切った。
最終日の決勝は、ダブルス同様にセンターコートで行われる予定だ。田中は「(上地は)尊敬する先輩。チャレンジャーではあるけれど、尻込みせずに自分のプレーをしたい」と話し、上地も「自分がやるべきこと、挑戦するべきことは変わらない。明日も(観客がわくような)面白いプレーを出せるように頑張りたい」と意気込みを語った。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)