ATP(男子プロテニス協会)ツアー公式戦「木下グループジャパンオープン2023」の車いすテニスの部が18日に開幕。19日のシングルス準決勝は、世界ランキング1位の小田凱人(東海理化)が同18位の鈴木康平(AOI Pro.)に3-6、6-2、6-1で逆転勝ちし、決勝に進出した。
第1セット、ファーストサーブの確率があがらず動きの硬い小田に対し、鈴木は丁寧な配球でゲームを支配。今年6月に国枝慎吾トーナメントディレクターから教わったというスライスサーブの調子も良く、3度のブレークに成功して先にセットを奪った。第2セットは、互いにサービスゲームをキープする五分の戦いとなるが、第6ゲームで小田のリターンエースが決まり、小田がブレーク。「力を抜いてプレーしよう」と切り替え、心に余裕ができると、第8ゲームを3度目のセットポイントで奪い、セットカウントを1-1とした。ファイナルゲームに入ると、鈴木のダブルフォルトもあり、流れは小田に。最後は2度目のマッチポイントで取り切り、勝利した。
小田は「(ステファン・ウデにストレートで敗れた)全米オープンの記憶がよみがえってしまい、ネガティブになりかけた。後半は落ち着いてプレーできたけれど、今日はスタートに課題があった」と、苦い表情で試合を振り返る。また、自身のプレーに大勢の観客が声援と拍手を送っており、重圧があったのかという問いに対し、「国枝さんもこういう気持ちだったのかな……」とポツリ。決勝は「落ち着いて試合をしたい」と話した。
準決勝のもうひと試合は、眞田卓(TOPPAN)が高野頌吾(かんぽ生命)に6-0、6-3のストレートで勝利した。眞田は初戦でステファン・ウデ(フランス)に6-2、6-2で勝利しての勝ち上がりで、「ウデ選手との試合で出せた隙のない動きが、今日の試合でもできた」と振り返る。眞田は今年の全米オープンでそのウデとペアを組み、男子ダブルスで初のグランドスラムタイトルを手にしている。その優勝の効果は大きく、「シングルスでも自信を持ってプレーできている」と眞田。決勝戦の小田との対戦については、「小田選手はパワーもスピードもあるし、ウィナーを取るのは難しいかもしれないけど、しっかり作戦を練ってポイントを取っていきたい」と言葉に力を込めた。
ダブルス準決勝は、齋田悟司(シグマクシス)/鈴木組が6-2、6-2で城智哉(中京大)/高野頌吾(かんぽ生命)組に勝利。もうひと試合は、ウデ/眞田組が藤本佳伸(GA technologies)/ベン・ウィークス(オーストラリア)組を6-1、6-0で下した。ウデは「サナダとまた一緒にプレー出来て嬉しい。いい試合だった」と振り返り、眞田は決勝に向けて「鈴木選手はパワフルなストロークをしてくるし、齋田選手はラリーがすごく上手。我々は全米オープンのチャンピオンですし、いいコンビネーションで相手を崩して勝利したい」と意気込みを語った。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)