車いすバスケットボール — 2018/6/11 月曜日 at 1:46:15

【MWCC2018】日本がオーストラリアを下し初優勝! チーム全員で掴み取った勝利

by
攻守にわたり活躍した香西宏昭=武蔵野の森総合スポーツプラザ(撮影/植原義晴)

車いすバスケットボールの国際大会「三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2018」は10日、決勝戦が行われ、日本は前回王者のオーストラリアに65-56で競り勝ち、初優勝を飾った。

■決勝戦 日本 65-56 オーストラリア

序盤から一進一退の攻防が続く展開となった決勝戦。予選時よりキレを増した相手の動きに対し、日本は粘り強くディフェンスし、リズムを保った。

前半を2点ビハインドで折り返した日本は第3クオーター、藤本怜央(宮城MAX)の連続得点や、鳥海連志(パラ神奈川スポーツクラブ)の3ポイントシュートで一気に差を詰める。日本の3点リードで迎えた最終クオーターの序盤、再び逆転を許すが、日本は勝負所で香西宏昭(ランディル/NO EXCUSE)の連続得点で追い上げ、さらにはキャプテンの豊島英(宮城MAX)のシュートで逆転に成功した。

オーストラリアは試合終了2分を切ったところでタイムアウトを取り、一発逆転にかけるが、日本はゴール下でリバウンドを死守。そこからロングパスからの速攻でゴールを決めるなど、鮮やかな連係プレーを見せ、最後は突き放した。

昨年のこの大会で初A代表入りした22歳の古澤。1年間でさらなる成長を見せ、予選のカナダ戦ではチーム最多の12得点と気を吐いた

日本は予選から全勝で大会を終えた。これまでは、得点力のある藤本と香西にボールが集中することが多かったが、鳥海や古澤拓也(パラ神奈川スポーツクラブ)、川原凛(千葉ホークス)らU23世代の若手選手が成長し、12人一人ひとりが攻守で自分の仕事を全うした。戦力が向上し、試合状況に合わせて柔軟にプランを組み立てることができたのも、相手にプレッシャーを与える要素となった。

及川晋平ヘッドコーチは、世界のトップが集結する8月の世界選手権を見据えると、「まだまだ」としながらも、強化合宿等で力を注いできた「チームビルディング」の成果が出始めたことについては、「良いスタートを切れたと思う。自信にして次につなげたい」と話した。

■3位決定戦 カナダ 56-49 ドイツ

カナダ全盛期を支えたパット・アンダーソンは、東京パラに向けて代表に復帰。スピードを活かしたアグレッシブなプレーと確かなシュート力は健在だ

決勝に先駆けて行われた3位決定戦は、カナダがドイツに56-49で勝利した。序盤はドイツがリードするが、第2クオーターでカナダが逆転。しかし、カナダは第4クオーターに入るとシュートの成功率が落ち、その間にドイツがトーマス・ボーメの3ポイントシュートなどで追い上げ、4点差まで迫った。そこからドイツに流れが来るかと思われたが、ゴール下でカナダのパット・アンダーソンがスチールし、再びボールをキープ。その後、相手のファールで得点を追加したカナダが逃げ切った。

■女子日本代表は格上オーストラリアに2連勝

また、同時開催の「日本生命WOMEN’S CHALLENGE MATCH」では女子代表が強豪オーストラリア代表と対戦。51-39で勝利をおさめ2連勝とした。今年1月、宮城MAXを絶対王者へと導き、また北京パラで女子代表、ロンドンパラで男子代表を率いた岩佐義明氏がヘッドコーチに就任。アシスタントコーチに岩佐氏のもと宮城MAXでプレーし、男子日本代表として4大会連続でパラリンピックに出場した藤井新悟氏、同じく岩佐氏のバスケを知り尽くす元男子日本代表の佐藤聡氏が務め、改革に取り組む最中だ。

合宿などでは両アシスタントコーチが実際に競技用車いすに乗って選手目線の指導を行っているといい、キャプテンの藤井郁美は「一緒にバスケ車に乗ってトレーニングをするので、プレーのイメージがしやすい。私たちに足りないものを順序立ててコーチングしてくれるので、選手としても素直に受け入れやすい」と話していた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)