東京2020パラリンピック — 2021/8/22 日曜日 at 22:54:09

【東京2020】有力選手が会見、脚で弓を引くスタッツマンは「観客は私たちの心の中にいる」

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東京2020パラリンピックへの抱負を語った選手たち=メインプレスセンター(撮影/植原義晴)

24日の開幕を前に、東京2020パラリンピックでの活躍が期待される各国の有力選手6人が22日、メインプレスセンターで会見に臨み、大会への抱負を語った。

陸上の男子走幅跳の片下腿義足クラスで3連覇を狙うマルクス・レーム(ドイツ)は、“ブレード・ジャンパー”の異名を持つ。この日に33歳の誕生日を迎え、お祝いのケーキが贈られた。今年6月に樹立した8m62の世界記録は、東京オリンピックで優勝した選手の記録を21㎝上回っており、「準備はできている。私の目標は常に高みを目指すこと。今大会でも自己記録更新を狙う」と意気込んだ。

車いすフェンシングでリオ大会の金メダリスト、ベアトリーチェ・ビオ(イタリア)は病気で手足を切断した義手のフェンサー。コロナ禍で車いすフェンシング界は2年間大会がなかったといい、「競技がなくてさみしかった」と率直な思いを吐露する。今大会は無観客となるが、「私たちの役割は何でもできるということ、戦うことを見せることだと思う。“パラリンピックであなたを観たからスポーツを始めた”と言ってくれる人がいると嬉しい」と笑顔を見せた。

アメリカのアーチェリー選手、マット・スタッツマンは生まれつき両腕がなく、脚で弓を引く独自のスタイルで初出場のロンドン大会では銀メダルを獲得している。東京大会は1年延期の末に開幕を迎えることについて、「パンデミック下においてもアスリートが集まって、愛してやまないスポーツができることは素晴らしいこと。無観客は残念だが、この状況下では仕方ない。観客は私たちの心のなかにいると思っているよ」と話した。

冬から夏に舞台を変えて臨む自国開催に「特別な思いがある」と語った太田

そして、日本からはテコンドーに出場する太田渉子(ソフトバンク)が登壇。テコンドーは東京大会で初採用の新競技で、「世界中が初代チャンピオンが誰になるのか楽しみにしていると思う。全力で挑戦したい」と決意を述べた。太田はノルディックの選手として冬季パラリンピックに3度出場し、2個のメダルを獲得している。一度は引退したが、競技を転向し、心身を鍛えてきた。「このためにさまざまな挑戦を始めてきたので、この舞台に立てることに感謝の気持ちでいっぱい」と話し、本番に向けては「ワクワクしている」と話し、表情を引き締めた。

ウガンダの14歳スイマー、フスナ・ククンダクウェは東京大会に参加する最年少アスリートのひとり。母国では障害がある人はあまり外に出ないといい、上肢に障害がある彼女も以前は手を隠したり、指が観られないようにポケットに入れたりしていたという。しかし、水泳と出会ったことで自信を持つようになり、「見た目を気にしないようになった。自分は自分でいいと受け入れられるようになった」とスポーツの力を口にした。

パラパワーリフティングの選手として2000年シドニー大会からパラリンピックに出場し、これまでに3個の金メダルを獲得しているアマリア・ペレス(メキシコ)は、6大会目の東京大会でも頂点を目指す。新型コロナのパンデミック以降、スポーツがアスリートの希望となっていたと話し、「日本のみなさんには、オリパラを受け入れてくれて心から感謝している。コロナ対策の厳しいルールを順守し、素晴らしい戦いを見せたい」と力強く語った。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)