「2023ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」が2日、千葉ポートアリーナで開幕した。昨年10月の世界選手権で金メダルを獲得したオーストラリア、準優勝のアメリカ、来年のパリパラリンピック開催国で強化に力を入れるフランス、そして日本の4カ国が頂点を争う。東京2020パラリンピックと世界選手権で3位だった日本代表が、強豪を相手にどのような試合を展開するか、注目が集まる。
1次リーグは各国と2試合ずつ対戦し、最終日の5日に3位決定戦と決勝戦を行う。初日の2日は、日本代表はフランスに56-50、アメリカに53-44で勝利し、好スタートを切った。
<日本 56-50 フランス>
序盤は両チームともミスが少なく、互いに確実にトライを重ねていく展開に。第2ピリオドに入ると、日本は粘り強く相手にプレッシャーをかけ、パスコースを切ってターンオーバーに成功。前半を29-25で折り返すと、後半も日本の強みである複数のラインをローテーションしながら戦い、点差を広げた。チーム最年長・48歳の島川慎一(3.0)は試合の流れを変える局面で起用され、ターンオーバーやスピードを活かした速攻を決めるなどキレのあるプレーで仕事を果たし、チーム最多の15得点をマークした。ケビン・オアーHCも島川について、「彼のキャリアのなかでもベストのプレーをしていると思う。プレーに一貫性が出てきて、スピードもよく、スペースをとることもうまくできている」と話し、競技歴24年目にしてさらなる進化を遂げるベテランに全幅の信頼を寄せた。
<日本 53-44 アメリカ>
アメリカは世界選手権の準決勝で日本が敗れた相手。この時は3年ぶりの対戦で、アメリカのプレッシャーの速さに連携を乱され、リズムを崩した。その反省を活かし、日本は序盤から攻めのディフェンスと正確なパスワークでスコアを重ね、試合の主導権を握った。アメリカは国際大会初出場の選手が3人と、世界選手権時とメンバーを入れ替えてきたが、日本はきっちりと借りを返した格好だ。ファーストラインに名を連ねた小川仁士(1.0)は試合後、「さまざまなシチュエーションを考えてパス練習をしてきた。世界選手権では自分勝手なパスを出していたが、意識してコミュニケーションを取るようになった」と自身の成長を口にし、池崎大輔(3.0)も「次につながる試合だった」と手ごたえを感じた様子だった。
(取材・文・撮影/荒木美晴)