世界ランキング1位のアメリカ、同2位のオーストラリア、同5位のフランスを招いて開かれている「2023ジャパンパラ車いすラグビー競技大会」は5日、最終日を迎え、千葉ポートアリーナで決勝戦が行われた。1次リーグを6戦全勝で1位通過した日本は、フランスに57-54で勝利し、優勝を果たした。また、3位決定戦はアメリカが53-52でオーストラリアを下した。
<決勝戦/日本 57-54 フランス>
両チームとも良い立ち上がりを見せ、互いにトライを重ねていく展開に。第1ピリオドは2点をリードするも追いつかれ、前半を27-27で折り返したが、日本は粘り強いディフェンスでフランスに前半だけで選手によるタイムアウトを4回とも使わせ、後半に有利な状況を作った。
第3ピリオドに入ると、フランスのエースであるジョナタン・イベルナ(3.0)の動きを池透暢(3.0)と今井友明(1.0)の連携で止め、タイムアウトを使えず苦し紛れに出したボールを池崎大輔(3.0)が奪って池につなぎ、連続得点。
また、第4ピリオドにはスピードを活かして切り込むイベルナの動きを、ローポインターの長谷川勇基(0.5)が阻止し、さらには島川慎一(3.0)が攻守の要であるセバスチャン・ベルダン(3.0)を強烈なタックルで倒すなどして、さらにターンオーバーに成功。この点差を最後まで守り切り、勝利した。
日本代表のケビン・オアーHCは試合後、「今大会はメンタルタフネスの強化を第一に考えていた。決勝は追いつかれたところから突き放せた。全体的に非常によい大会を過ごせたと思う」と振り返った。また、パリパラリンピックの出場権をかけた6月末開幕のアジア・オセアニアチャンピオンシップに向けては、「強豪のオーストラリアと戦うには、パフォーマンスに一貫性を持つことが大事になる。チームではまだメンタルタフネスにムラがあるので改善し、良い結果につなげたい」と力強く語った。
<3位決定戦/アメリカ 53-52 オーストラリア>
第1ピリオドは2度のターンオーバーに成功したアメリカが14-12と2点をリード。追いかけるオーストラリアは第2ピリオド早々に逆転するが、クリス・ボンド(3.5)がトライ直前の相手プレーヤーの後方からタックルをして、3つ分のペナルティとなるフラグラント・ファウルを犯してしまう。ここで再びアメリカにリードを許したオーストラリアだったが、その後は冷静にプレーし、17点を積み上げた。
後半も一進一退の攻防が続き、第4ピリオドはオーストラリアがリードを3点に広げるも、アメリカも一瞬のスキを突いてボールを奪うなどして、すぐに同点に追いつく。息もつかせぬ展開のまま試合は終盤へと向かい、最後はアメリカがターンオーバー。最後のインバウンドからトライへとつないで勝利した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)