「CO・OP共済2019ワールドパラノルディックスキーワールドカップ(W杯)札幌大会」は17日、大会最終日を迎え、クロスカントリースキー・ショート(クラシカル)が行われた。男子立位は、川除大輝(日立ソリューションズJrスキークラブ/富山県雄山高)が3位に入り、2日続けての表彰台。新田佳浩(日立ソリューションズ)は4位だった。
フリーに続き、得意のクラシカル(5キロ)でもメダルを獲得した川除。レース途中で転倒するも慌てず、すぐに起き上がって走り抜いた。いま、高校3年生でスキー部では健常者とともに上を目指してきた。荒井秀樹監督は、「高校の遠征もこなし、試合数を経験してきたことで、体力やスキーの技術が上がってきている」と評価。4月から日本大に進学し、名門のスキー部で仲間と切磋琢磨していくことになる。川除は、「いい流れで来ている。今年から新しい環境でやるので、さらに力をつけて、総合優勝の争いに絡めるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。
その川除の成長に、「嬉しい反面、やっぱり負けたくないという気持ちが生まれた」と語るのは平昌パラリンピックで金銀2個のメダルを獲得した38歳の新田。平昌でやりきった満足感から次のステージの成功イメージが描けず、シーズン前は競技生活にピリオドを打つことも考えた。しかし、川除やこの日優勝したカナダのアレンズらライバルの活躍に刺激を受け、自分自身も上半身の強化などさらなる伸びしろを見つけたことで、「3年後の北京パラを視野に」リスタートを切る覚悟ができた。
「僕が常に狙っているのは表彰台。そこに絡む状況にするための準備がこれからできれば、たぶん3年後も続けていると思う。チャレンジする姿勢を伝えていけたら」と新田。
1998年の長野パラリンピックから常に第一線で活躍してきたレジェンドは、他選手にはない経験を存分に活かし、これからも自分の走りを追求していく。
岩本啓吾(東京美装興業)は11位、視覚障害の高村和人(岩手県立盛岡視覚支援学校教諭)とガイドの藤田佑平(早稲田大大学院スポーツ科学研究科)は6位、座位の森宏明(明治大)は9位だった。女子立位は、阿部友里香(日立ソリューションズ)は9位、出来島桃子(新発田市役所)は10位、中学3年の岩本美歌(富山市立大沢野中)は12位だった。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)