北京2020パラリンピックは9日、国家バイアスロンセンターでノルディックスキー距離スプリント・フリーが行われた。
男子視覚障害クラスの有安諒平(東急イーライフデザイン)は予選16位で通過はならず。有安は視野の中心が欠ける視覚障害がある。前を走りながら指示を出すガイドスキーヤーの藤田佑平(スポーツフィールド)の声をたよりに滑走していく。有安は視覚障害者柔道からボート競技に転向し、東京2020パラリンピックでは混合舵手つきフォアに出場。ボートの強化の一環で取り組み始めたクロスカントリースキーでも頭角を現し、北京大会の代表に選ばれた二刀流アスリートだ。
今回は上位進出はならなかったが、世界の強敵と肩を並べて滑りきった。「準決勝にも行けなかったが、世界との距離は確実に一歩近づいているという実感が得られた。一つひとつのことを詰めていきながら、4年後、8年後にはメダルが獲得できるような強い選手になりたい」と語り、前を向いた。
7日の距離20キロで金メダルを獲得した男子立位の川除大輝(日立ソリューションズジュニアスキークラブ)は、予選を勝ち上がって準決勝2組に登場。序盤に先行する中国選手のスキー板と接触して転倒する不運もあって4位となり、6人で争う決勝進出を逃した。
「(転倒は)自分の不注意でもあるし、スプリントではよくあること。海外の選手と比べてスピードも足りなかったし実力不足」とコメントした川除。大会も後半に差し掛かり、12日にミドル、最終日の13日にリレーを控える。「ミドルでは後半の走りを活かせるレースをしたい。リレーは日本チームに貢献できるように頑張る」と話した。
7大会目のパラリンピックとなるレジェンド・新田佳浩(日立ソリューションズ)も準決勝で敗れた。岩本啓吾(土屋ホーム)は予選通過ならず。男子座位の森宏明(朝日新聞社)も予選最下位で準決勝に進めなかった。
女子立位では、パラリンピック3大会目の阿部友里香(日立ソリューションズ)は準決勝1組6位で敗退。初出場の高校3年生、岩本美歌(北海道エネルギーパラスキージュニアチーム)は準決勝に進めなかった。
(文/荒木美晴、撮影/Kohei MARUYAMA)