パラアイスホッケー世界選手権Aプールは30日、予選リーグの最終戦が行われた。Bグループの日本は、同じく2敗のスウェーデンと対戦。1-1のまま突入した今大会初の5分間の延長戦でも決着がつかず、ペナルティショット対決のシュートアウトに突入したが、日本は2本失敗し、1-2で敗れた。
序盤から相手ゴール前で展開する日本。第2ピリオド10分、パックをキープする相手に須藤悟(北海道ベアーズ)が身体を寄せて動きを止め、児玉直(東京アイスバーンズ)がパックを奪い、走り込んだ吉川守(長野サンダーバーズ)のスレッジの下を通してパス。これを受けた吉川がゴール右隅に決めた。
しかし、その後は幾度とチャンスを作りながら、ゴールネットを揺らせず。最終ピリオドにスウェーデンに1点を返されると、延長戦でも精彩を欠いた。シュートアウト対決では、日本1人目の児玉と2人目の須藤が失敗。GK福島忍(長野サンダーバーズ)は1本をセーブするが、3人目に決められ、肩を落とした。
長年の課題である決定力不足が、最後まで響いた。中北浩仁監督は、「何をやっているのか。センスがない。それに尽きる」と怒り心頭だ。しかも、相手はエースのKasperiを欠き、28日のチェコ戦で得点を挙げているIngvarssonも出場しなかった。そのなかで31本のシュートを放ちながら、わずか1得点。その得点を決めた吉川は、「ここぞという場面でバックドアに人がいても、そこにパスを出す勇気と余裕がない。自分のワンシュートで終わってしまう。チームがひとつになり切れていない」と、早い段階で得点できない理由を、悔しさをにじませながら振り返る。
明日、5月1日の7・8位決定戦で日本は再びスウェーデンと対戦する。両チームとも来季のBプール降格が決まっているが、現在世界ランキング10位の日本が7位まで上げるか、8位で終わるかは大きな違いだ。
何より、自分たちが取り組んできたプレーで1勝を挙げ、中北ジャパンの誇りを示したい。
「このままでは日本に帰れない。明日こそは日の丸を掲げる」。吉川の言葉のとおり、ひとつになれるか。最後の一戦にすべてをかけてほしい。
(取材・文・撮影/荒木美晴)