パラアイスホッケー — 2019/5/2 木曜日 at 8:03:41

【OSTRAVA 2019】スウェーデンに延長戦で敗れ、日本は最下位

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最終戦で円陣を組む日本代表。山積する課題があらためて浮き彫りになった=チェコ・オストラバアリーナ

パラアイスホッケー世界選手権Aプールは1日、7・8位決定戦が行われ、日本はスウェーデンに延長戦の末、3-4で敗れた。予選リーグ3試合を含め、全敗の最下位。平昌パラリンピック後のチーム再始動の遅れ、選手層の薄さが響き、世界との差を改めて突き付けられた。

試合が動いたのは、両チームとも無得点で迎えた第2ピリオド。それまでゴール前にキレのあるパスを出していた須藤悟(北海道ベアーズ)がペナルティを取られ、相手に数的有利のチャンスを与えて失点。だが、日本もあきらめず攻め上がり、2ピリ終了まで1分を切ったところで熊谷昌治(長野サンダーバーズ)が左サイドからゴール前に矢のようなパス。それに児玉直(東京アイスバーンズ)が完璧に合わせて同点ゴールを決めた。

最終ピリオドは、点の取り合いに。石井英明(東京アイスバーンズ)が厳しい相手のマークにあいながら、パックをキープして左手シュートを決める。だが、その40秒後にゴールを許し同点に追いつかれると、さらに失点。1点を追いかける日本は、パワープレーのチャンスでパックを死守し、最後は須藤が押し込んだ。

勝利に喜びを爆発させるスウェーデンチームの前で肩を落とす日本人選手たち

ところが、3-3の同点で迎えた延長戦。わずか開始20秒でDFながら得点力のあるIngavarssonにハットトリックとなるロングシュートを鮮やかに決められ、試合終了。勝てる試合を落とし、日本の選手たちはうつむくしかなかった。

キャプテンの児玉は試合後、「私自身、シュートチャンスがあっても決めきれなかった。1点目はほぼクマさんのゴール。チームもまとめきれなかったし、選手としてもリーダーとしても力不足だった」とコメント。来シーズンに向けては、「育成選手の新津、坂本、濱本がすごくやる気に満ちていて、悔しさを見せていた。彼らがどう変わっていくか」と新たな風の成長に期待していた。

その新津和良(長野サンダーバーズ)、濱本雅也(ロスパーダ関西)は4試合とも出場。新津はFW登録ながらDFで起用され、「パスコースを読んで何度かカットに行けた場面もあったが、力不足が目立った。本当に悔しい」。濱本も「ボディチェックで負けて、目の前のパックにも届かない。世界のすごさを実感した。この経験を今回参加していない育成の選手に僕たちが伝えなければいけない。だからこそ、僕たちがもっとうまくなって、下から押し上げていくんだという強い気持ちを忘れないようにしたい」と話し、前を向いた。GKの保城厚弥(東京アイスバーンズ)は出場機会がなかった。

また、坂本義仁(ロスパーダ関西)もDFでの活躍が期待されたが、現地入り後に体調不良のため欠場が続き、検査の結果を受けて、ようやく最終戦に出場できた。だがチームは敗れ、「代表に選ばれたので期待に応えたかった。個人的な悔しさとチームの悔しさ、両方があふれ出てきた。この経験をこれからにつなげていきたい」と話した。

今回の世界選手権が今シーズンの最後の大会となる。実は、中北浩仁監督がこの2018-2019年シーズンをもって日本代表監督を退任することを表明した。大会直前の4月の岡谷合宿で選手たちに直接伝えた。オストラバ入り後も、再度話をしたという。選手たちは思いを乗せて戦ったが、1勝を捧げることができなかった。1998年長野パラリンピックから代表で活躍する吉川守(長野サンダーバーズ)は「僕に楽しいホッケーを教えてくれた人」、30代半ばで競技を始めエースへと成長した熊谷は「感謝しかない」と目を潤ませた。

※後日、関連記事を公開予定です!

(取材・文・撮影/荒木美晴)