
パラアイスホッケーのミラノ・コルティナ2026冬季パラリンピックの出場権をかけた最終予選は9日、競技5日目を迎え、日本はスウェーデンに3-0で勝利した。第3試合ではスロバキアが全勝のノルウェーを下したため、ノルウェー、スロバキア、韓国、日本の4チームが3勝1敗で並んだ。最終日は第2試合でスロバキアが韓国と、第3試合でノルウェーが日本と直接対決するため、それぞれ勝利したチームがパラ出場権を獲得する。
スウェーデン戦では、負けられない試合というプレッシャーからか、序盤から動きが硬い日本。8分には日本のペナルティーで数的不利の大きなピンチを迎えてしまう。しかし、全員ディフェンスで猛攻をしのぐなか、フェンス際に出たパックを鵜飼祥生(FW)が奪って一気に切り込むと、後ろから追いついた伊藤樹(FW)にパス。これに伊藤が右手で合わせ、値千金のショートハンドゴールを決めた。

第2ピリオドも、両チームともに譲らない攻防が続く。その均衡を崩したのは、またしても伊藤。フェイスオフでこぼれたパックを拾うと、スピードを活かしてゴール前へ持ち込みシュート。相手GKに当たって外にはじかれたパックを自ら拾い、ゴール裏から逆サイドに持ち込んで右のバックハンドでねじ込んだ。第3ピリオドに入ると、スウェーデンが6人攻撃をしかけるが、日本は守護神・堀江航(GK)の好セーブでしのぐと、混戦のなかの少ないチャンスでパックを奪い、最後は鵜飼がエンプティネットゴールを決めた。
スウェーデン戦では18本のシュートをすべて抑えてゴールを守り切り、またここまでの試合でセーブ率94%をマークしている堀江は、「この大会に向けて、ごみ拾いをしたり、人に親切にしたりと、徳を積んできたので運よく守れている」と笑いつつも、「プレーヤーが頑張ってくれている。初戦は負けたけれど、チーム状態は悪くないし、良い雰囲気で臨めていると思う」と語り、一体感に胸を張った。
キャプテンの熊谷昌治(FW)も、「この8年間の悔しさをすべてぶつけて、明日は絶対に勝つ」と言い切る。2得点と気を吐いた伊藤は、「みんな硬かったし、声が出ていないし、もっとつなげられたし、テンポよく攻められたし、もっとシュートも打てたはず」と反省を口にする。そして、「その改善点が明確になったいい試合だった」と前向きに捉えると、最終戦に向けて「8年間夢見た舞台が、すぐそこにある。やるしかない」と、言葉に力を込めた。
■今回がパラへのラストチャンス、6チームが「2枠」を争う
ミラノパラの出場枠は「8」。世界選手権Aプールの上位5チームがすでに出場権を獲得。イタリアも開催国枠を得ているため、残り「2」枠をこの最終予選で争う。今大会はAプールの下位3チーム(スロバキア、韓国、ノルウェー)と同Bプールの上位3チーム(日本、スウェーデン、カザフスタン ※1位はパラリンピック開催国のイタリアで今大会は不出場)の6チームが参加。総当たりで争われ、上位2チームが出場権を獲得する。
<9日の結果>
日本 1-1-1=3(3勝1敗)
スウェーデン 0-0-0=0(4敗)
韓国 4-1-2=7(3勝1敗)
カザフスタン 0-0-0=0(4敗)
ノルウェー 0-1-0=1(3勝1敗)
スロバキア 0-2-1=3(3勝1敗)
(取材・文・写真/荒木美晴)













